レポート
「小林聖心女子学院」兵庫 学校図書館スタンプラリー2026参加記
「兵庫 学校図書館スタンプラリー」が2026年も開催されました。今年で11回目を迎え、全7校の学校図書館が対象館です。

夏の日差しが照り付ける8月1日、小林聖心女子学院 学習センターを訪れました。
小説や映画『阪急電車』の舞台としても知られる、阪急今津線・小林(おばやし)駅で下車し、坂道を上っていきます。次第に周囲は木々の緑に包まれ、まるで森の中へ入っていくような静かな道の先に、小林聖心女子学院の正門が見えてきました。
正門で受付を済ませ、さらに緩やかな坂を上って校舎へ向かいます。歴史を感じさせる校舎の廊下を歩いていると、「少し迷路みたいになっていますが……」と笑顔で出迎えてくださったのが、今回お話を伺った司書教諭の山本敬子先生でした。
その言葉どおり、廊下を曲がりながら進んだ先、一歩足を踏み入れた瞬間、目の前に広がったのは、開放感のある二層構造の学習センター 。歴史ある校舎の中にありながら、自然光が差し込む空間は明るく、学校の「学びの中心」として大切にされてきたことを感じさせてくれました。

この日は学院のイベントの「図書館で探そう&授業体験」が開催されている日でもあり、参加されていた小学生や保護者の方が学習センターに多数来場されていました。Jcrossの取材を兼ねて訪問している私たちのことも、参加された皆様へご紹介いただき、Jcrossの活動についてご説明しました。広報部長の「ウパっち」[※1]にも興味を持ってくださる小学生がいて、嬉しいひとときとなりました。
小林聖心女子学院では、一般的な「図書館」や「図書室」ではなく、「学習センター」という名称を使っています。その背景には、「自分で抱いた疑問を、自分で解決できる場にしたい」という設立時からの思いが込められています。
学習センターは、学院創立50周年記念事業の一環として1975年に開館しました。当時、海外の学校を視察した先生方が、視察先の海外生徒たちが自ら疑問を持ち、その答えを求めて主体的に学ぶ姿に感銘を受けたことが設立のきっかけの一つだったそうです。
開館当初から視聴覚設備を備え、書籍以外にも雑誌・新聞や視聴覚資料などの豊かな蔵書もあるなど、現在の探究学習につながる環境が50年前から整えられていたことには驚かされます。いつも専任の先生がいて本や調べ方の相談ができるうえ、早い段階から空調設備が整えられたということもあって、生徒や教職員が自然と集まる学びの場として機能していました。
現在も、読書のための場所にとどまらず、探究やさまざまな教科、行事、クラブ、趣味や推し活まで応援する場となっています。書籍・データベース・インターネットなど多様な情報を活用しながら、生徒の主体的な学びを支える「学習の中心」として役割を果たしているといえるでしょう。
約10万冊の豊富な蔵書は、生徒が進んで読みたいと思うもの、教職員がすすめたいもの、日々の学習に役立つものなど、多彩な資料で構成されています。
書架を見て回ると、日本文学の代表的な作品が並ぶコーナーには、作家の似顔絵が添えられていました。作品と作者を結び付け、親しみやすくする工夫が施されており、思わず足を止めたくなるような、学習センターならではの心配りを感じました。

また、学習センターの書架には、小林聖心女子学院が位置する宝塚市ならではの資料も並んでいます。その一つが宝塚歌劇に関する資料です。
山本先生は「郷土資料の一つですね(笑)」と話されていましたが、地域の文化を伝える資料として、大切に収集されています。

さらに印象的だったのが、「受験用参考書が並ぶコーナー」の在校生からの寄贈本です。
一般的には、書き込みのある本は資料として受け入れないことが多いそうですが、このコーナーの本については特別に扱っているそうです。
なぜなら、そこに残された書き込みも含めて、先輩たちがどのように学び、努力してきたかを知ることができるからです。
本そのものだけではなく、本に刻まれた時間や思いも含めて、後輩へ受け継がれている資料なのです。
生徒の書き込みのある本の写真
学習センターでは、その時々のテーマに合わせた展示も行われています。訪問した際には、「建築」をテーマにした展示が企画され、建築家や建築作品に関するさまざまな資料が紹介されていました。
小林聖心女子学院の本館は、建築家アントニン・レーモンドが設計したものとして知られており、国指定の重要文化財となっています。校舎という身近な建築をきっかけに、本を通して建築への興味や理解を深めることができる、学習センターならではの展示でした。

長い歴史の中で多くの生徒たちの学びを支えてきた学習センターですが、今年度をもって新たな姿へ生まれ変わる予定だそうです。リニューアル計画が進められており、来年には新しい学習センターに出会えることになります。
なお、小林聖心女子学院では、中学校・高等学校の「学習センター」に加え、小学校には創立者マザー・ソフィア・バラの幼少期の呼び名にちなむ「ソフィーセンター」が設けられています。「図書館は学校の“心(ハート)”です」という聖心女子大学初代学長 マザー・ブリットの言葉のとおり、学校全体で図書館を学びの中心として大切にしていることが伝わってきました。
50年前、「自分で抱いた疑問を、自分で解決できる場」として誕生した学習センター。その大切にしてきた精神は、新しい空間にもきっと受け継がれていくことでしょう。

今回は、学院のイベント開催日というお忙しい中にもかかわらず、学習センターをご案内いただき、貴重なお話を伺うことができました。小林聖心女子学院の皆さまに、心より感謝申し上げます。
「兵庫 学校図書館スタンプラリー」を通じて、普段なかなか訪れる機会のない学校図書館を実際に見学し、その学校ならではの取り組みや思いに触れることができました。改めて、学校図書館が持つ魅力を感じる機会となりました。
来年、新しく生まれ変わる学習センターを訪れることを楽しみにしています。
文/前田貴代 (株式会社ブレインテック Jcross担当)
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