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福井大学 地域創生推進本部「知の創造」活動プロジェクト (後編)
後編では福井大学 地域創生推進本部「知の創造」活動プロジェクトの福井大学生にオンラインでお話を伺いました。 今回お話を伺ったのは、福井大学教育学部2年生(取材当時)の 岡野未梨さん と 竹越藍香さん のおふたり。前編から引き続き福井大学地域環境研究教育センターの教員でありプロジェクト代表の嘉瀬井先生にもご参加いただきました。
前編はこちら
- 名称
- 福井大学 地域創生推進本部「知の創造」活動プロジェクト
- 活動内容
- 「ちえなみき」を拠点に、福井大学 教育学部生が地域の中で「知」を創造することを目的とした1年間の活動。
- 人数
- プロジェクト代表1名、参加学生7名、メンター5名 ※2024年度
おふたりは通常3年生から希望者を募るこのプロジェクトに1年生の時から参加。ちえなみきに取材した際にもたくさんの活動を積極的に行っていることが分かりました。
そんな活動に熱心なおふたりを取材をしてきました。
「知の創造」活動プロジェクトに参加するきっかけ
ちえなみき
まずおふたりが「知の創造」活動プロジェクトに参加した理由を教えてください。
竹越高校時代に地元の資料館「敦賀ムゼウム」のガイドとして活動[※1]していて、非認知能力の向上を感じていました。将来は小学校の教員になりたいので、児童にも、高校時代の活動を通して感じた、地域の素材を生かした学びを提供したいと考えていました。その時にちょうど地元の敦賀にあるちえなみきを拠点としたプロジェクトに出会い、学生のうちから学びについて考えていきたいと思い参加を決めました。
岡野高校生のころに「壁のない遊び場」[※2]で活動していました。様々な年齢、バックグラウンドの人と出会うことが多かったです。その時から、地元である敦賀について知らないなとも感じていて、このプロジェクトが他のどこでもない敦賀で実施されることに興味を持ちました。
将来教員を目指しているので、地域の素材を生かした学びを提供したい、敦賀の魅力、マネジメント、学びを作っていくことを学びたいと考えて参加を決めました。
おふたりとも高校生の時からボランティアなどの活動をされていたのですね。
新しいことを始めることに不安はないのでしょうか?
竹越不安な気持ちもありますがそれ以上に新しいことを知る、いろいろな人とお話しできるということが楽しいです。
いろいろな方とお話しすることや知的探求の楽しさを知っているからこその言葉ですね。
「地域の素材を生かした学び」というワードがおふたりから出てきましたが、おふたりにとってどのようなワードで、何を示すものなのでしょうか。
岡野地域の素材を生かした学びとは「その地域にしかないものを使った学び」を指します。
もともと私自身、体験学習に興味を持っていて、地域の木材を生かして作られたアトラクションなど、地域の素材を生かした遊び、体験学習を指す言葉だと思っていました。しかし知の創造プロジェクトを通して「体験学習だけでない学び」にも焦点を当てるようになりました。地域の人との会話から得られる学びも地域の良さであると感じました。「地域の素材を生かした学び」は体験学習だけを指す言葉ではなく、そういった人とのかかわりも含めたものだと思います。
プロジェクト活動の経験と学びの連鎖
プロジェクトの中で1番印象に残っている活動を教えてください。
竹越やはり一昨年の図書館総合展のトークセッションに参加したことです!
多くの人の前でお話するので印象に残っているのかもしれませんが、これまで自分たちが行ってきた活動を振り返りながら、まとめることができたよい機会でした。ちえなみきで行っている活動に対して、どのような部分に魅力があってそれらをどう伝えるかを岡野さんと相談しながら準備をしていきました。二人で工夫しながら緊張を和らげました。魅力を伝えたいという気持ちが強かったからか、当日は想像するよりも自然にお話ができました。
岡野プロジェクトそのものがすごく楽しいので、印象に残っている活動はたくさんあるのですが、2024年度でいうと、先輩方(当時3年生)の取り組みを取材したことです。福井大学生と一緒に、自分の持ってきた本や、ちえなみきにある本から、好きな場面を選んで、それをキーホルダーにしようという企画でした。
私はこの企画の発案などにはあまり関わっていなかったのですが、当日の取材を通して、本への興味が促進されているなと感じました。子どもたちがいろいろな絵本を手に取り、パラパラめくっては「え、この本読みたい!」や「これ可愛い!」と楽しみながら本にふれていました。そしてこの企画は、ただキーホルダーを作るだけではなく、作ったキーホルダーと、その紹介文を書き、みんなに共有するという時間を取っていました。その後、子どもたちも自分が選ばなかった絵本やキーホルダー、キャラクターに興味をもっていました。
目が輝いていて、すごく楽しそうに活動していて、子どもたちの学びって、こういうキラキラしたものなんだろう、と思いました。少し抽象的な言葉になってしまいますが、子どもたちの学びを実際に身近で感じることができたので、とても印象に残っています。
おふたりがコミュニケーションを楽しみながら活動されているのがとても伝わってきました。
3年生の企画・活動への取材を通して気づきはありましたか?
岡野たくさんありました。教育学部の先輩なので子どもの興味の持たせ方、話し方がとても上手でした。子どもたちが自分の好きな本を持ってきていいというルールだったのも、よかったと思います。ちえなみきは本屋さんでもあるので、その活動時間の中で、本を選んできてという企画でも成り立ったのですが、あえて、好きな本を持ってきていいよとしたことで、その場で選ばないといけないっていう不安感がなかったり、持ってきている大好きなこの本があるから安心だ、と思えるような企画となっていました。この本が好きだと思う感情も余計に強まっていました。
また、他にも参加した子ども同士のかかわりも大事にされていました。先輩方が「あの子はこうやって作ってるよ」と声をかけていて、その子個人だけの活動にとどまらず、他の子と、関わりを結びつけようとしているところが、とても印象的で、やはり先輩方はすごいなって思いました。
先輩方とのかかわりは取材以外で、自分たちの活動についてアドバイスをもらったりすることもあるのでしょうか。
岡野6月に活動が始まり、中間報告会を経て最終報告会という流れになります。中間報告会の時に、図書館総合展のポスターセッションで発表するポスターを先輩方やメンターの方々にも見ていただきました。表現の仕方であったり、内容に関して質問していただいて、ブラッシュアップをした形になります。そのおかげで、図書館総合展につなげられました。
ちえなみきでの活動だからこそ得られる学び
おふたりが参加し潜入レポートを書かれた「ちえなみきに泊まろう」[※3]についてぜひ詳しくお聞きしたいです。レポートの内容がとても楽しそうで私も参加したくなりました。
この記事は、ちえなみきで活動している学生に学生の視点でちえなみきについて見てもらいたいという依頼があり、産官学のプロジェクトの中で、広報スタッフとしてちえなみき主催のイベントを取材することになったと嘉瀬井様に伺いました。
どのようなかたちでイベントにかかわったのでしょうか。また取材に当たってどのような準備をしましたか。
竹越準備は企画段階から参加しました。夜間の照明をどうするか、紙ランタンにしようか、ハンモックも置こうかなどアイデア出しの会議にも参加しました。いつもはできない特別な空間を演出し、その空間だからこそ生まれる知を参加者に提供したいというこだわりを感じることができました。
また、自分たちの方では、どういったことを参加者に聞くかなどの取材の事前準備もしました。
こだわりを持って企画している様子を見ることは今後のプロジェクトの活動にも生かせそうですね。とても素敵な経験ですね。おふたりがこの企画を取材して印象に残ったこと、学んだことをぜひ教えてください。
岡野「ちえなみきに泊まろう」という企画だからこそ出会えたひとたちがいて、つながりやかかわりが生まれたことがとても印象的でした。
私はこのイベントの中の共読会[※4]企画の取材をしました。選んだ本から人間性や考え方などを感じられてとても良い時間でした。自分が普段選ばないような本を読み、選んだ人の話を聞いてさらにその本の良さを知ることができました。参加者同士で価値観を共有することを楽しみました。
共読会が終わった後も、コミュニケーションが生まれていて、本を通して人と人とのつながりを感じることができました。
竹越私はイベントに参加された方に敦賀の魅力について取材しました。
回答は観光名所などを予想していたのですが、皆さんが答えたのは、「帰り道の公園から見える景色」や「散歩道で見つける景色」など、自分だけが知る特別な空間でした。私自身も魅力のとらえ方がひろがりました。
ちえなみきの、図書館でも書店でもない空間であること、温かい照明や子供たちの声、リラックスしながら本が読めることを魅力と答える方もいました。その取材が大変印象に残っています。
ちえなみきをきっかけにたくさんの人と関わり、さまざまな感じ方、考え方を学ぶことができているのですね。
熱心な活動の原点は敦賀の魅力
お二人が考える地元敦賀の魅力とは?
竹越一番に思い浮かぶのは観光地とかではないけれど、友達と遊んでいた公園、通学路、祖母の家から見える山などです。思い出もあいまった場所を思い出すと地元が好きだなと感じます。
岡野自分の家は敦賀市のなかでも山に囲まれ、田んぼが広がったまち。春はさくらがきれいで、夏は虫の声が聞こえてあたたかい風が吹いてきて、秋は木の葉が落ちて道一面に広がり、冬は雪かきは大変だけれどきれいな雪景色。四季を感じることができるところが地元の良さだなと感じます。また地域の人とのかかわりも密接で、「おかえり」と声をかけてくれる暖かいコミュニケーションは、敦賀が好きだなと思う瞬間です。
今後、プロジェクトでやってみたいこと、または将来について考えていることを教えてください。
竹越観光名所だけでない地元の人が知る魅力を見つけ、1年生の時の活動で感じられた、地域の人と人のつながり、またそれだけでなく歴史のつながりなど様々なつながりから得られる学びを実装していきたいです。
例えば、福井大学に入ってから県内の嶺北エリア以外の子に出会う機会も多いのですが、敦賀の魅力をわかってもらえていないように感じています。県内でも知られていない魅力をもっと伝えていきたいです。
岡野メインとしては竹越さんと同じくつながりから得られる学びを実装していきたいです。
1年生の時の活動で地域の人に取材する企画を行い、長年続くきもの屋さんにお話を伺いました。北前船が敦賀にとまり、京都や滋賀に運んだりしていたのですがそういった歴史についてきもの屋さん視点でお話しいただいたり、おぼろ昆布なども北前船で運ばれてきたことを知りました。
将来教員になったときに役立つ知識や人とのコミュニケーションだなと思いました。
人から聞くことでしか得られない情報や知識、引き継がれてきた言葉や伝統、物語があることを感じました。
教員になったら地元の人との交流を大事にしようと思っています。
取材後記
今回、学生さんおふたりにはオンラインでの取材となりました。画面越しでも伝わってくるおふたりの地元愛と教育に対する熱意を感じました。
地元の人々から聞くお話を、教育や活動を通して引き継いでいくという思いは、図書館関係のお仕事をしている私自身としても心が動かされました。本や写真のような形あるものだけではなく、人々の記憶の中の景色やにおいまでをも残せるよう、保存し、継承していくことの必要性や意味を強く感じました。学生の間にそこまでたどり着いたおふたりは、今後それらを継承していく担い手になるのでしょう。「知の創造」活動プロジェクトの意義をおふたりの存在がより強固にしていくのではないでしょうか。
自身の業務について考えることができるお話でもあり、おふたりの今後が楽しみになる取材となりました。
文/大戸結菜 (株式会社ブレインテック Jcross担当)
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[※1]
- ガイドとして活動
- 竹越さんが高校1年生の時、有志が集まり、敦賀ムゼウムのガイドボランティアを行った。この学校の取り組みは、のちに部活動となった。
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[※2]
- 壁のない遊び場
- 壁のない遊び場とは日本OECD共同研究の国際共創プロジェクトで、世界全体のwell-beingの実現に向けて、今日の社会に存在する様々な「壁」(立場や年齢、性別、国籍、組織、制度、文化等)を超えて、みんなで同じ時間/空間/機会を共にする「場-bA-」です。「壁」のない世界を共創するために、あそびながら学び、学びながらあそぶプロジェクトです。https://gakugei-asobiba.org/
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[※3]
- ちえなみきに泊まろう
- 「ちえなみきに泊まろう」2025 | 敦賀市知育・啓発施設「ちえなみき」
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[※4]
- 共読会
- 一冊の本の中から気になる漢字を一字抜き出し、カードに書く。参加者が選んだ漢字カードで気になるものを選び、本を読む。本を読んだ人はもう一字書き、それを繰り返し、MVPを決めるという遊び。