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図書館散歩

「こんぴらさん」と「ことひらまちじゅう図書館」の旅

掲載:2022年11月16日

秋晴れの日に、香川県琴平町に行ってきました。ここは言わずもがな、こんぴらさん(金刀比羅宮)のある町です。

こんぴらさんにお参りしつつ、Jcrossの「読書記録手帳」にも掲載している「ことひらまちじゅう図書館」も見学させてもらおうと、代表の嶋田様にもご連絡して、ご同行いただきました。

「ことひらまちじゅう図書館」は、琴平町内の商店や病院などに本棚が設置され、自由に借りることのできる、いわゆるまちライブラリーです。

じつは琴平町には、公立の図書館がないのだそうです。本を楽しめる場所を作り、町立図書館設立の機運を高めるために、このプロジェクトをはじめられたそうです。現在24カ所の図書館が登録されています。

はじめましてのあいさつの後で嶋田様とまず向かったのは、「高松琴平電気鉄道(株)」の待合室。

ここには香川県立琴平高等学校の生徒さんが設置した図書館「旅する図書館・琴電琴平駅」があります。扉付きの本棚には高校生の書いた琴平町のイメージが描かれています。本棚の扉を開けると、琴平町の歴史や特徴、旅に関する本が集められていました。

次に訪れたのが、商店街にある「ちょっとこ場」。ここはイベントなども行われるスペースです。小説、料理や手芸の本、郷土資料など色々な本が置いてあります。禁帯出(持ち出し禁止)のシールの貼られた資料もありました。

商店街を通り抜け、いよいよこんぴらさんの参道へ。こんぴらさんと言えば長い階段が有名です。本宮までは785段あるとのことで、私たちもだんだん口数も少なくなりながら登っていきました。

その途中のお土産屋さんにも図書館があるときいて立ち寄りました。画家・イラストレーターとして活躍中のヒダカナオトさんのイラストが使われたマグカップやTシャツなどを販売している「ご利益や」さんでは、ヒダカナオトさんの関わった本や絵本などが並んでいました。

にぎやかな参道を抜けて大門を超えると急に静かになり、神馬が繋がれた小屋や社などがあり、もう少し階段を上ったところでとうとう本宮へ到着。旅の無事を祈ってから、下ることにしました。

帰り道の途中で、階段の脇から入る裏参道という道を通りました。先ほど上った階段とは異なり、木々に囲まれた苔むした道が続いていました。途中桜の木がたくさん植えられている「広場」や「運動場」と書かれた場所もありました。このあたりは町の人たちが集うような場所のようです。その中に「以前は開館していた」という、金刀比羅宮図書館という建物が。これは金比羅宮が町民にも公開していたという図書館だそうです。嶋田様もお子さんが小さなときに通ったとのことでしたが、残念ながら現在は閉館とのことでした。

このあとは町中に戻って、お土産屋さんや文房具屋さんなどをひやかしつつ、嶋田さんといろいろおしゃべり。琴平町近辺についてもいろいろと教えていただきました。

ことひらまちじゅう図書館は、各館長さんがセレクトした本が並んでいますが、各図書館はボランティアでの運営です。本を追加したりきれいに並べ直したり、と手間がかかる作業ではないかな、と思います。本を読んでほしいという館長さんたちの心意気でこの活動が継続されているのだなと思いました。

もしこんぴらさんに行かれる方いらしたら、ぜひこの「ことひらまちじゅう図書館」もご覧くださいね。

途中から階段を上るのに必死になり、金刀比羅宮の写真撮影を忘れたのが残念です。でも、帰り道に眺めた「さぬき富士」がとてもきれいだったので、いいお話を聞けたという気持ちもあって満足です。

文/赤枝幸子 (株式会社ブレインテック Jcross担当)