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レポート

「富士見中学校高等学校」東京・学校図書館スタンプラリー2025

掲載:2025年8月28日

今年も東京・学校図書館スタンプラリーが開催されました。今年は32校の学校図書館が参加されています。

今回は、8月24日に公開された学校法人山崎学園 富士見中学高等学校の図書館「Learning Hub」を訪問してきました。

富士見中学校高等学校は、西武池袋線中村橋駅南口から徒歩3分の場所にあります。2018年に図書館棟が完成したとのことで、明るく清潔な建物でした。校舎の中は広いのですが、迷わないようにLeaning Hubまでの案内板があちこちに置いてあり、迷わずたどり着けました。

Learning Hubは図書館棟の2階・3階に位置しています。2階の入り口から入ると、図書委員の生徒さん3人と学校司書さんがにこやかに迎えてくださいました。まずは消しゴムで作ったスタンプを押してもらってから、館内を案内してもらいます。

スタンプを押してもらうところを見つめる、Jcrossマスコットキャラクター「ウパっち」[※1]

館内には、図書委員の生徒さんが企画・実施しているという展示がありました。階段を上がってすぐの場所にある大きな模造紙を使った展示は、つい足をとめて見入ってしまいます。

書架に収納されている資料は表紙が見えるように配架されているものや、紹介文がしおりのような形で挟んであるもの、手書きのPOPが添えてあるものなどもあります。

司書教諭である宗先生にもお話を聞きました。

蔵書数は35,000冊あり、そのうち洋書が1,500冊、別途電子書籍も利用できるそうです。宗先生のほか学校司書も2名常駐されているとのこと。

2階は0類~6類、3階は7類~9類の資料が配架されています。

2階は移動可能なテーブルと椅子があり、1クラス全員が座れるようになっています。スクリーンもあり、ここで調べものの授業が行われることも多いそうです。辞書や百科事典などの参考図書も授業時に使いやすい場所に配架されていました。

3階は落ち着いた色調の書架に読み物が多く配架され、背の高いスツールとソファーが置いてありました。

新聞への投稿に取り組む授業もあるようで、実際に掲載された新聞記事が館内に展示されていました。他にも「図書館を使った調べる学習コンクール」の受賞を知らせる記事とその作品も展示されていました。

学校では探究学習に力を入れているとのことで、雑誌・新聞の置いてあるコーナーでは、SDGsの各テーマ別にシールを貼ったクリアファイルに、関連する新聞記事の切り抜きを入れ、テーマ選びに苦心している生徒に向けて情報を提供していました。

また、雑誌架には「専門図書館」のパンフレットを収集して入れているバインダーがありました。宗先生によると、これまで専門図書館について生徒に案内していないことに気づいて最近収集を始めた、とのことでしたが、確かに課題に対して調査をする過程では、そのテーマに詳しい専門図書館はうってつけだなと思いました。

他にも美術館や博物館で行っている展示パンフレットの展示など、興味をそそられそうな情報が多く掲示されていました。

階段の踊り場には、巨大なタペストリーが飾られていました。校内には絵画などが多く展示されているとのことです。この山崎学園富士見中学校高等学校の創設者である山崎種二氏は教育・文化を熱心に支援し、東京都渋谷区にある山種美術館を開館した人物です。館内には「学校内に絵画が多い理由」として、この創設者についての雑誌記事や美術館についての説明が展示されていました。日常的に目にしているものについて考察させる仕掛けだなと思いました。

訪問した日はちょうど学校説明会の日でもあったため、途中たくさんの小学生とその保護者の方たちで館内がにぎやかになりました。楽しそうに階段を上り下りして、図書を手に取ったり展示を眺めたりしている様子を見て、こんな環境で学べるかもしれないことをうらやましく思いました。

生徒が自分で課題を見つけ、調べ考えを深めていく探究学習のために、司書教諭・学校司書がフォローしている様子が見られる図書館でした。宗先生をはじめとするスタッフの皆さま、図書委員の皆さま、色々教えてくださりありがとうございました。

文/赤枝幸子 (株式会社ブレインテック Jcross担当)