レポート
念願の「こんちゅう教室」に参加しました!
専門図書館見学記でご紹介した”昆虫図書館”こと練馬区立稲荷山図書館。
昨年の夏は、Jcrossスタッフの秋葉が、昆虫が大好きな5歳の息子を連れて、成虫になったカブトムシなどを見に行きました。この時は、「こんちゅう教室」というイベントで採集された昆虫の種類と場所が書かれた「こんちゅうマップ」をうらやましく眺めるばかりでした。
そしてこの夏、小学生となった息子と一緒に念願の「こんちゅう教室」に参加してきました。
稲荷山図書館では、毎年夏になると図書館で飼育しているカブトムシやオオムラサキなどの昆虫の展示やえさやり体験をはじめ、昆虫にまつわるイベントを行っています。
今回参加した「こんちゅう教室」は、隣接する稲荷山憩いの森で採集した虫を観察して絵を描こうというものです。参加条件は小学生~中学生ということで、ようやく息子も参加条件を満たすことができました。7月20日(日)と21日(月・祝)の開催で、定員は各20名。応募多数の場合は抽選とのことでドキドキしていましたが、うれしいことに当選の連絡をいただきました。
当日の集合時間は図書館の開館時間と同じ朝9時。図書館に行くと、虫取り網と虫かごを持った親子連れがすでに数組集まっていました。みんなやる気に満ちているように見えました。
開館時間になると館内2階の会議室に案内され、本日の流れと諸注意を確認しました。この日の先生は、日本鱗翅(りんし)学会会員の福田晴男先生。
「子どもの頃から虫が好きで、今でもずっと好きです」と語る先生の姿が印象的でした。
参加者は小学校低学年のお子さんが目立ちました。保護者のみなさんと一緒に、虫取り網と虫かごに加え、帽子と水筒など必要最低限のものを持って出発です。9時半頃、先生を先頭に、司書さん2名の引率で「稲荷山憩いの森」へ移動。歩きながら飛んでいる蝶を見つけて「白いけどモンシロチョウではなさそうですね」など、先生は次々と蝶の種類や性別を一瞬で見分けていき、早々に“蝶博士”ぶりを発揮していきます。植物についても、「この植物があると、この虫が集まる」など、昆虫と植物のつながりを教えてくれました。片道5分ほどの道のりも、まさに“こんちゅう教室”の一環でした。
森に到着すると、1時間ほど自由に昆虫採集タイムです。いきなりクワガタを捕まえた子がいて驚いていると、カマキリ、カブトムシを捕まえた子もあちこちにいて、それぞれに昆虫採集に没頭。途中、先生に質問をしたり、高いところにいる昆虫を見つけて先生の長い虫取り網で手伝ってもらったりと、保護者を含めた参加者全員が昆虫採集に夢中になりました。先生はスズメバチを見つけて、透明のカップに入れて、観察できるようにしてくれました。スズメバチを捕まえるなんて生態を理解した先生にしかできません!興味津々の息子は早速手に持って観察。絶対にふたを開けないようにと念を押しつつ、私はハラハラしながら見守りました。
先生が捕まえたスズメバチを観察
息子はカブトムシを捕まえたいと意気込んでいましたが、なかなか見つかりません。カブトムシは夜行性なので、日中になってくると見つけるのは難しいかなと思っていると、木の上の方にカブトムシがいたようで、先生の長い虫取り網の柄でつつくと下に落ちてきました。息子はその落ちたカブトムシに素早く網を被せて、念願かなってカブトムシを捕まえることができました。
それぞれの虫かごに、カナブン、蝶々、カマキリ、カミキリムシ等々、見つけた昆虫を入れて、図書館に戻りました。帰り道、先生と子どもたちが、見つけた虫の話などで盛り上がっていて、小さな“昆虫博士”たちの知識の豊富さに感心しました。
図書館に戻ると、採集した昆虫のお絵描きタイムです。各自よく観察をして30分ほど絵を描きました。先生が、捕まえたスズメバチを「描きたい人~!」と声をかけると、息子がまっ先に手を挙げました。「家で描きたい」と言い出す息子に、先生が「持ち帰っていいかおうちの人に聞いてごらん」と言ってくださり、私は慌てて「ここで描こうね」と促しました。
納得して図書館で描いてくれました
子どもたちが絵を描いている間、先生は蝶のさなぎや死んだタマムシなどを机に並べて見せてくれました。タマムシは数日前に拾ったそうですが、死んでも美しい色は変わらないということに驚きました。蝶のさなぎは数週間で羽化するものかと思っていましたが、種類や時期によっては数か月そのままのこともあるそうです。見た目も私の想像とは違い、木の実のようでもあり、これが生きているさなぎだと聞いて耳を疑いました。
まるで木の実のような蝶のさなぎ
絵を描き終えたお子さんから「稲荷山図書館周辺マップ」に自分が捕まえた場所に捕まえた昆虫のシールを貼って、今年の"こんちゅうマップ"が出来上がりました!
いろいろな昆虫が見つかりました
最後に先生は、「今日捕まえた昆虫も、命はひとつ」と命の大切さを伝えてくれました。息子が捕まえたカブトムシも、この夏、大切に育てたいと思います。
描いた絵は、希望すれば図書館で展示されます。展示が終わると、シールにして返却してくれるとのことで、息子の絵も提出してきました。
イベント後には、図書館1階で展示されているヘラクレスオオカブトやオオムラサキを見学。
今年羽化したヘラクレスオオカブト
オオムラサキの展示ケース
虫かごを持っていると司書さんが「何が捕れたの?」と気さくに声をかけてくださり、息子も誇らしげにメスのカブトムシを見せていました。こうしたやり取りも、昆虫図書館ならではの魅力です。
帰りは、バス停近くの老舗のお蕎麦屋さんでお昼を食べました。店内も広く、14時近くなっても家族連れや小さなお子さん連れのお客さんで賑わっている人気店のようでした。バスの本数も多く、帰りの時間調整もできるので、稲荷山図書館+お蕎麦屋さんは我が家の鉄板コースとなりそうです。
肉きのこせいろをいただきました
こうして念願の「こんちゅう教室」にも参加ができ、夏休み最初のイベントを、親子でたっぷり楽しむことができました。
みなさんもカブトムシやオオムラサキを見に、夏の昆虫図書館へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
文/秋葉小夜子 (株式会社ブレインテック Jcross担当