レポート

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SLiiiC SWC2018への道

掲載:2018年3月28日

学校図書館プロジェクトSLiiiCでは、学校図書館関係者などが参加して、ワークショップや講演会が行なわれる「サマーワークキャンプ(SWC)」というイベントを毎年夏頃に開催しています。

今年のサマーワークキャンプ、SWC2018は「パフォーマンス&コミュニケーション」をテーマに開催が予定されています。これに先立って、プレイベントとしての勉強会が1月27日と3月11日に開催されました。

今回は1月27日に開催された第1回、題して「SWC2018への道 その1 みがこうパフォーマンス"力"! ~グループ・ブックトークとコミュニケーション・ゲームから学ぶ」の様子を紹介します。

このイベントでは「グループ・ブックトーク」と「コミュニケーション・ゲーム」が取り上げられ、「コミュニケーション・ゲーム」においては『劇団フェリーちゃん』[※1]に所属する劇団員も参加するということで、どのような内容になるのか予想もつかないまま、当日、会場に向かいました。

会場は都内にある公立小学校の図書室で、小学校や中学校の図書館に勤務する方たち16人と、今回のスタッフ役の方々などを含め20人ほどが集まっていました。会場には差し入れのお菓子がたくさん並び、和やかな雰囲気の中でイベントが始まりました。

グループ・ブックトークって何?

第1部は、SLiiiC代表の横山さんから、「グループ・ブックトーク」についての紹介と、有志の4名の方からのグループ・ブックトークの実演がありました。

SLiiiC代表の横山さん

通常のブックトークでは、あるテーマについて、ひとりで複数の本をその関連性を説明しながら順序だてて紹介していきますが、今回のイベントで取り上げたグループ・ブックトークでは、グループでテーマに沿って一人一冊ずつの本を紹介していき、次の人へ渡す際には、次の人の紹介と次の本へのつながりを説明するというやり方で行われました。

まずはグループ・ブックトークについて書かれた雑誌記事[※2]の紹介と、グループ・ブックトークを実施している学校の事例が紹介されました。

小学校の国語の授業や図書委員会の活動で、児童・生徒がグループ・ブックトークに取り組む事例があるとのことでした。

本を紹介するということは、単に面白いと思った本を紹介するのではなく相手にあわせるということが必要で、例えば相手が同学年なのか、年下の学年なのかで、紹介する本も変わってきます。

生徒たちが自分たちでテーマを決めて、本を選び、ブックトークのシナリオを考え、試してみてまた見直しをして・・・ということを何度も繰り返すことで、自ら興味を持って本に接し、読み、考え、伝える、ということを総合的に学べることなどが、グループ・ブックトークの成果として挙げられていました。

今日は、4名の司書のグループが、聞き手を小学校高学年から中学生であると仮定して「伝えることではじまる世界」というテーマでグループ・ブックトークを実演してみせました。

グループ・ブックトークの実演の様子

テーマに沿って4冊の本が順番に紹介されましたが、「コミュニケーション」という切り口から紹介された本はどれも魅力的に感じられました。本そのものも面白いのだと思いますが、その面白さを相手に丁寧に説明することがいかに大事なことか、それを実感させられるグループ・ブックトークでした。

あとで聞いた話ですが、時間に制限があるため、もともと盛り込みたかった内容もかなり削り、本当に大事なことだけ伝えるようにしたとのことでした。紹介する本をとことん読み込み、その中で本当に伝えたいことだけを絞り込んで臨むことで、相手に「読んでみたい」と思わせるよう伝えることに成功したのだと思いました。また、一人ではないので、互いに話し合い、それぞれの意見を尊重しながら作り上げていく過程がとても楽しかったと話されていたことも印象的でした。

劇団とのコラボレーション

第2部は、「劇団フェリーちゃん」のメンバーの進行で「コミュニケーション・ゲーム」が行なわれました。

今回の劇団とのコラボレーションは、図書館のイベントと演劇には類似した点が多いのではという白百合女子大学の今井福司先生の発案によるものだそうです。

今回のコミュニケーション・ゲームは、二人一組で、互いの目を見続けながら、「1」「2」「3」「1」・・・と番号を順番に言い合うというものです。

こう書くと単純でとても簡単そうに思えるのですが、実際に行ってみると意外と難しく、例えば、焦ってしまって、次に自分が言うべき数字がわからなくなってしまったり、相手から目をそらしてしまったりと、なかなか思うようにいきません。さらには、「2」と言うタイミングで手を叩いたり、「3」では足を踏み鳴らしたり、というように、新しいルールも次第に追加され、難易度もあがっていくとなおさらです。

「コミュニケーション・ゲーム」という名の通り、このゲームは、自分のことだけに集中していると全くうまくできません。互いにアイコンタクトをとるなど相手を意識するようにとのアドバイスを受け、それを実践していくうちに失敗も減ってきました。

コミュニケーション・ゲームに続いては、劇団代表のなにわえわみさんから、声の出し方についてのレクチャーがありました。

劇団フェリーちゃんのなにわえわみさんによるレクチャーの様子

なにわえわみさんは声楽を学ばれていたとのことで、声帯や腹筋、息等がどう関係して声を出しているのか、その仕組みの説明とともに、声を大きく、響かせるコツをわかりやすく教えていただきました。

上半身だけを使って声を出そうとすると、声帯に余計な力が入ってしまうためにうまくいきません。実際に腹式呼吸で声を出す練習をしていると、上半身の力がうまく抜けるポイントがあることに気づきました。

まとめ

なにわえわみさんも同様のことをおっしゃっていましたが、総じて感じたことは、コミュニケーションというのは自分の考えを相手に理解してもらうことであり、その手助けとなるのが「パフォーマンス」なのかもしれないということです。

例えばグループ・ブックトークで話すだけでも相手に伝えることはできますが、効果的に伝えるためにはパフォーマンスが必要であるということです。これはイベントなどで人前に出て話をする場合だけでなく、日常においても、相手にわかりやすく説明したり、何かを伝えようとする場合にも同じことだと思いました。

終了後、SWC2018の計画についての話がありましたが、前半で紹介されたグループ・ブックトークの他、劇団フェリーちゃんとのコラボレーションで、実際に演劇をしようという企画も計画中とのことでした。今回のイベントはその実現に向けての最初の一歩だったようです。

ワークショップでは、今日のこのイベントに参加した理由や図書館で働くことについてなどを参加者各自が記入する時間があったのですが、これらを参考に演劇をつくるとのことでした。

ワークショップので参加者が記入した用紙

さて、この「SWC2018への道」ですが、「その3」が5月20日(日)に、今度は公共図書館を利用して行われるとのことです。

そして、本番の「SWC2018」は9月15日(土)に予定されています。

今回のイベントだけでも十分に濃い内容でしたが、その集大成となるSWC2018がどんなものになるのか、今からとても楽しみです。

文/赤枝 幸子 (株式会社ブレインテック Jcross担当)

  • [※1]
    劇団フェリーちゃん
    なにわえわみさんと水沢まな美さんが主宰する演劇団体。劇団のウェブサイトはこちら
  • [※2]
    大塚健太郎・中山美由紀(2005)「子どもたちがブックトークに挑戦」,『学校図書館』2005年10月号 No.660, p.22, 全国学校図書館協会.
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