レポート

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Library NAVIを訪ねて ~ 安城市図書情報館「らBooks」

掲載:2018年4月16日

愛知県安城市にある安城市図書情報館は、2017年6月にオープンした中心市街地拠点施設アンフォーレの2階から4階部分にある安城市の図書館です。オープンから間もない2017年9月、「図書館総合展2017フォーラムin安城」がこのアンフォーレを会場として開催された際、私も出展者の一人として参加し、図書情報館の館内見学をする機会がありました。

見学の途中、「らBooks」というティーンズ向けコーナーの書架でLibraryNAVI(ライブラリー・ナビ)を発見し、「こんなところにLibraryNAVIが!」ということで1部ずついただいて帰ってきました。

「らBooks」8月号のライブラリー・ナビ「らBooks」8月号のLibraryNAVI

いただいたLibraryNAVIは、コーナー名と同じ「らBooks」という名前で、「ノベル編」と「ごちゃっと編」の2種類がありました。内容は、ティーンズ向けおすすめ本を掲載したブックリストで、「8月号」と書いてあるので、定期的に作られているもののようです。

「『らBooks』ってどういう意味?」「ティーンズ向けブックリストにLibraryNAVIを採用したのはなぜ?」など、いろいろと気になったので、あらためて安城市図書情報館を訪ねることにしました。

アンフォーレは、JR安城駅から歩いて数分のところにあります。安城市は、『ごんぎつね』などで知られる新美南吉が青春時代を過ごした地ということで、安城駅からアンフォーレに向かう途中にも新美南吉にちなんだモニュメントやベンチがありました。

新美南吉のモニュメント

安城市による新美南吉のモニュメントについて紹介する石碑

アンフォーレは、図書館やビジネス支援センター、ホールなどの入る地上5階・地下1階の本館と、スーパーマーケットなど民間の商業施設の入る南館、駐車場や広場、公園などで構成される、公共サービスと民間サービスが同居している複合施設です。

アンフォーレの外観

本館の外観は、たくさんの窓が飛び出しているようなユニークなものですが、中に入っても中央が大きく吹き抜けになっていて、中からも外からも見通しが良い、明るくて開放的な空間です。

アンフォーレの入口

建物中央の吹き抜け

今回は、3階にある「らBooks」コーナーを訪ね、司書の市川様にお話を伺いました。

「らBooks」のコーナーが設けられている書架

館内の様子

LibraryNAVIとの出会い

現在、「らBooks」はコーナーの名前であり、LibraryNAVIの名称(タイトル)でもあるのですが、先にできたのはLibraryNAVIとのことでした。

数年前、安城市の図書館職員が長野県塩尻市の図書館「えんぱーく」を訪れた際、館内でユニークな形をしたブックリストが置かれているのを見つけました。その面白い形に惹かれ、塩尻の図書館に「真似してもいいですか?」と尋ねたところ「これはLibraryNAVIというものなんですよ」と教えてもらったというのが、「らBooks」のLibraryNAVIが誕生したきっかけです。

書架棚にある「らBooks」のライブラリー・ナビ

LibraryNAVIを使ったブックリストは、一般的な一枚ものの紙に印刷されたリスト形式のブックリストに比べて掲載できる情報量が少ない一方、ユニークな形をしているため手に取ってもらいやすく、ティーンズ向けにピンポイントで本を紹介するのに適しているのだそうです。

「らBooks」の「ら」は、「light books(軽い本)」「like books(本が好き)」の「ら」、そして「the books」のように強調する定冠詞的なイメージとのこと。ティーンズにぜひ読んでほしい本、といったところでしょうか。

「ノベル編」「ごちゃっと編」ともに、LibraryNAVIの5つの見出しには本の題名が1つずつ書かれています。気になる見出しの部分を広げてみると、本の情報と短くて親しみやすい紹介文が、推薦するスタッフの名前入りで載っていました。どちらも隔月で発行されていて、例えば2017年12月号には、10月~11月に受け入れをしたティーンズ向け図書の中から厳選された5冊が紹介されています。

「らBooks」12月号のライブラリー・ナビ「らBooks」(ごちゃっと編)12月号のLibraryNAVI

ブックリストの名前がそのままコーナー名に

安城市の中央図書館が、アンフォーレに移転して図書情報館としてリニューアルオープンするにあたり、これまであまり図書館を使ったことのない利用者でも、分類記号など意識せずに気軽に図書館を利用してもらえるようにと、ティーンズを対象とした図書と、各分野の入門書やベストセラーとを併せたコーナーを設けることになりました。そして、それまでブックリストの名前として使っていた「らBooks」をコーナー名にすることになりました。

「らBooks」のある書架

「らBOOKS」のコーナーは、(1)ティーンズ向け、(2)進路・就職(受験や就職活動、新社会人向けの本)、(3)トピックス(各ジャンルの入門書や話題の本)、(4)再読本(各年代のベストセラー本)、(5)コミックス、(6)英語多読という6つのカテゴリーにわかれています。本の背にはオリジナルの3段ラベルがつけられていて、1段目と2段目は一般的な公共図書館と同じ分類記号と著者記号ですが、3段目のアルファベットは「CO」はコミックス、「RE」は再読本といったように、「らBooks」内の6つのカテゴリーを表しています。

「らBooks」の3段ラベル

「らBooks」のコーナーでは表紙を見せて並べられている本も多く、各ジャンルの入門本や定番本を揃えたトピックスというカテゴリーの書架では、本来ならば図書館の分類に従って館内のあちこちに点在しているであろう多様なジャンルの本が一つの書架に並んでいるので、普段の自分なら近寄らないようなジャンルの本にも、つい手が伸びます。

「らBooks」の書架棚の様子

また、自習目的で館内の閲覧机を利用している方に、勉強の合間にちょっと一息入れたくなった時、視界に入った本に興味をもってもらえれば、という狙いもあるのだそうです。

若い人たちが、たくさんの面白い本に出会えるように

書架棚の「らBooks」のライブラリー・ナビ

実は、「らBooks」のLibraryNAVIが設置されているのは、この「らBooks」コーナーだけではありません。毎号、市内の中学校8校と高等学校・専修学校6校のすべてに送られ、各クラスに1部、図書館に5部が置かれています。

「らBooks」を作成するスタッフの方々は、"「らBooks」を通じて若い人たちがたくさんの面白い本に出会えるように"という思いを込めて、数多くの新着本の中からこれぞという一冊にオリジナルの推薦文を書いているそうです。私も、図書館スタッフの方々の思いのこもったこのLibraryNAVIによるブックリストが、一人でも多くの人に届き、これからも長く続いてほしいと思いました。

さいごに

今回訪ねた安城市図書情報館では、「らBooks」のコーナー以外にも利用者の使い勝手を考慮してNDC(日本十進分類)順とは違う排架をしている部分があったり、図書館の利用案内が対象者別に何種類も用意されていたりと、図書館を一人でも多くの人に使ってほしい、一冊でも多くの本に出会ってほしいというスタッフの思いが伝わってくるような工夫がたくさんありました。そして、「らBooks」のLibraryNAVIも、そうした工夫の一つとして誕生したものなのだということがわかり、とても有意義な訪問となりました。

安城市図書情報館の利用案内

決まっているのはそのユニークな形だけで、中身はどのように作ってもよいというLibraryNAVIだからこそ、作り手の考えが強く反映されるものになり面白いのだとあらためて感じました。これからも、気になるLibraryNAVIを見かけたら、その作り手にお話を聞いてみたいと思います。

文/関 乃里子 (株式会社ブレインテック Jcross担当)

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