Jcross(ジェイクロス)| 図書館と図書館にかかわる人たちのサイト

レポート

東京・学校図書館スタンプラリー2023参加記 「東京都立広尾高校図書館」

掲載:2023年10月27日

この夏、「東京・学校図書館スタンプラリー2023」が開催されました。この「東京・学校図書館スタンプラリー」は東京都内の学校図書館が夏休み期間に図書館を公開する企画です。今年は33校が参加・協力しています。普段なかなか見ることのできない学校図書館を見られる機会で、Jcrossのスタッフみんな楽しみにしています。

今回は、8/22(火)に訪問した、東京都立広尾高等学校を紹介します。

JRまたは東京メトロ恵比寿駅から10分ほど歩いた住宅地に東京都立広尾高等学校はありました。

8月22日~25日の学校見学会と同時開催ということもあって、たくさんの生徒さん、親御さんが訪れていました。

図書館に入ると司書の堀岡先生がニコニコ顔でお出迎えしてくれました。

館内も見学に来られた沢山の人でにぎわっていました。

「こんなにたくさんの人が来てくれて驚いています。コロナ前でもこんなにたくさん来なかったと思うので」

堀岡先生は少し驚きつつも嬉しそうに話してくれました。

ブックトラックや低めの書架の上など、いたるところに鮮やかなピンクのポップとミニ展示があり、館内もとてもにぎやかな印象でした。『大学受験に役立つブックリスト』が気になって手に取ると「赤本を見て受験に出題された作品のブックリストを作って更新しているんです」と教えてもらいました。こちらのブックリストは司書さん同士の研修会でも共有しているようで、何とも太っ腹です。

閲覧席ではスタンプラリーのイベントとして手作りしおりコーナーがあり、作れるしおりは2種類ありました。

引っ張ると絵柄が変わる仕掛けのあるしおりは東京都立大江戸高校の司書さんが考案されたもので、アイディアは共有されているそうです。

「アイディアをそのまま使いました(笑)」

とのことでしたが、印刷してカットして袋に入れてと、全てお1人で作業されたとか。それだけでも大変そうです。

ちなみに、こちらのしおりはJcrossコレクション「図書館のしおり」にも掲載されていますので、よろしければご覧ください。

小さなお子さん向けには、スタンプを押すだけで簡単に作れるしおりが用意されていました。

そのほかに気になったコーナーは「軽音楽部」の展示です。尋ねてみると、コロナ禍で活動ができなかった時期に69期生が中心となって演奏された曲が収録されたCDで、すべてオリジナル曲だそうです。その中の1曲にヘミングウェイの小説『老人と海』にインスピレーションを受けて作られた曲があるということで、本と一緒に展示されていました。

CDプレイヤーも置いてあり、曲を流してくださったので聴いてみると音響もよく、どれもおしゃれなカフェで流れていそうな驚きのクオリティでした。(言葉で表現する術がなくすみません)

卒業後、音楽の道に進み、フジロックフェスティバルにも出演された生徒さんもいるとか。

こんな風に部活とのコラボなどもあり、図書館だけにとどまらない活動の広さを感じました。

館内のいたる所にあるピンクのポップも「学図研(学校図書館問題研究会)で紹介されてるからやってる図書館多いですよ」とのことでした。

ちなみに、これらのポップは図書委員の生徒さんがデコパネというカラーパネルを糸のこでくりぬいて作るそうですが、入口の「図書館」の文字はたまたますごく上手な生徒さんが手掛けたようで、入口にふさわしい出来栄えとなったようです。改めて、本記事の冒頭に戻って見てみてください。

私が見学に行った日は他校の司書さんも見学に来られていて、学校図書館同士、横の連携の強さもうかがえます。それぞれの学校図書館では1人勤務が多いようですが、研修会があったり、このようなイベントで協力し合ったりと、決して1人ではない心強さに支えられているように感じました。

沢山の見学の方が訪れているにもかかわらず、私の質問にも丁寧に回答してくださった堀岡先生にはとても感謝です。

アイディア豊富な堀岡先生の仕掛けでますますパワーアップし、より生徒さんに親しまれる図書館になっていくだろうなぁと感じました。

文/秋葉小夜子 (株式会社ブレインテック Jcross担当)