Jcross(ジェイクロス)| 図書館と図書館にかかわる人たちのサイト

お仕事見学

図書館検索サイト「カーリル」の株式会社カーリルってどんな会社?

掲載:2012年11月2日

第3回 株式会社カーリル 様

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"かーりる??"

ウパっちは、とある企業図書室に住むウーパールーパー。いつものように雑誌架でのんびりしていると、すぐ横にあるカウンターで図書室のおじさんが話しているのが聞こえてきました。
「それなら、カーリルを使うと一度に調べられるので便利ですよ」

かーりる?なんだろう?何か便利な道具なのかな?

visit_calil02.png気になったウパっちが、おじさんの指差していたパソコンの画面を覗き込んでみると、なんだかとても楽しそう。本の絵がたくさん並んでる!これも図書館のOPACなのかな?
興味をもったウパっちは、運営会社の株式会社カーリルを訪ねることにしました。

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"ふつうのおうち?"

岐阜県中津川市にある株式会社カーリルの本社は、一見ふつうのおうちのよう。でも、中に入ってみるとパソコンや大きなホワイトボードが置かれていて、なにやら会議の真っ最中。

「今は、ちょうど合宿をやっているところなんですよ」

部屋の中央に置かれたホワイトボードには、びっしりと新しいプロジェクトのプランが書き込まれている。

株式会社カーリルの社員は、ふだんは本社のある岐阜県中津川のほか、東京や京都などでそれぞれ仕事をしているが、月に1回程度この本社に集まって開発合宿をするそうだ。

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カーリルは、全国6000館以上の図書館のOPACを横断検索できるウェブサイト。横断検索対象の図書館は5つまで自由に選べて、貸出状況もわかる。もちろん、それだけでもとても便利だが、ポップで楽しい画面デザインも特徴だ。

「カーリルは、"図書館をもっと楽しくしよう、図書館がもっとみんなに使われるようにしよう"というところから始まって、今もそれを目指してやってます」

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杉山さんは教えてくれた。社長の吉本さんが中津川市の図書館システムの更新の仕事に関わったとき、OPACがあまり利用されていないことに気づいて「もっと色々工夫したら利用も増えて、図書館を楽しくできるんじゃないか」という思いから、2010年の3月にカーリルをスタートさせた。

現在、月間のユニークユーザー[※1]は25~30万人。ページビュー[※2]は150~200万だそうだ。また、カーリルには、横断検索以外にも自分のおすすめ本を紹介できるカーリルレシピや、自分が訪問した図書館にコメントを残すことができるスタンプラリーなど、色々と本や図書館を楽しむ仕掛けが用意されている。 こうしたカーリルのサービスを利用しているのは、インターネットを日常的に利用している人が多いようだが、口コミで広がって最近は徐々に利用者層は広がってきているらしい。そして、図書館の現場で働く人たちからの反応も。

「最近は、要望もたくさんいただくようになってきて、業務でも使ってもらっているのがよくわかります。やっと、"あるのが当たり前"の存在になってきたのかな、と思います」

寄せられる要望で多いのは、"うちの図書館もカーリルに加えてください"とか、"カーリルに参加するにはどうしたらいいの?"というもので、カーリルに掲載されている図書館情報の修正依頼などもあるとのこと。 カーリルでは、お問い合わせフォームの他、Twitterなどからでも問い合わせ・連絡を受け付けていて、何か気が付いたこと、わからないことがあったらどんどん問い合わせをしてほしいそうだ。

カーリルのシステムを運営していて、一番大変なことは何か、社長の吉本さんに聞いた。

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社長の吉本龍司さん

「図書館システムは何年かに一度リプレイスといって、新しいものに変わります。そうするとそれまでできていた横断検索もできなくなってしまうので、ひとつひとつ新しいものに対応するための修正作業が必要です。これはとても泥臭いというか、地道な作業ですね。」

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新しいアイデアがびっしりと
書き込まれたホワイトボード

対象館が6000以上、図書館システム数も2000以上もあるのだから、いつもどこかの図書館の修正作業をしている感じになる。便利さの裏側にはスタッフの人たちのたゆまぬ働きがあるのだ。 どこの図書館がシステムをリプレイスしたかという情報は、スタッフでチェックする以外にも、カーリルの利用者から"○○図書館の検索ができない"という声が寄せられてわかることも多いそうだ。愛用者の多い証拠でもある。

「でも、カーリルはまだ道半ばです。図書館は、もっともっと面白くできると思う。これからも図書館に関するたくさんの楽しいアイデアを提案していくつもりですよ。」

この合宿でもいくつかの新しいアイデアが形になろうとしている。まだ企業秘密?と思いながら、どんなものなのか聞いてみた。

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"楽しそうなアイデアがいっぱい"

「ひとつはカーリルタッチ。ICタグを貼った図書館の棚に携帯電話などでタッチして、本や図書館に関する色々な情報を見ることができるようになります。それから、学校図書館や企業図書館など非公開OPACと連携するカーリルスポットも始まります」

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株式会社カーリルのみなさん

カーリルタッチは、利用者はタッチするだけという気軽さと、他のサービスとの連携の可能性も広がるのがポイントとのこと。カーリルが、ウェブの世界だけのサービスに留まらず、リアルな図書館の場にも進出していくことになる。
確かに、カーリルの可能性はまだまだ広がっていくようだ。

visit_calil10.pngウパっちは、中津川の特産品だという栗を買って帰ることにした。
ウパっちは考えた。
帰ったらおじさんにいろいろ教えてあげよう。タッチするだけで楽しいカーリルタッチや、企業図書館でも使えるというカーリルスポットのこと。

会社情報
株式会社カーリル

住所:岐阜県中津川市坂下1645-15
Webサイト:http://calil.jp/company/

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