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レポート

図書館総合展サテライト会場めぐり 京都大学 東南アジア地域研究研究所図書室に行ってきました

掲載:2023年12月21日

2023年の図書館総合展は、昨年に引き続きサテライト会場が用意されています。サテライト会場は実際に足を運んで展示等を見ることができる会場です

11月4日(土)に、一般向け見学ツアー等のイベントを開催した京都大学 東南アジア地域研究研究所図書室に、Jcrossの広報部長ウパっち[※1]と共に訪問しました。この日は、京都モダン建築祭の図書館見学ツアーに参加しました。普段は公開されていない京都のモダン建築の見学ができるイベントで、図書室の見学ツアーが実施されていました。今回は図書室長の大野美紀子准教授に案内していただきました。

京都大学 東南アジア地域研究研究所図書室はレンガづくりの建物で、図書室は、事務棟と書庫棟とに分かれています。2つの棟をつなぐのが2階にある渡り廊下となっていました。私たちは図書室の入口がある事務棟から図書室に入りました。館内へは土足で入れないため、スリッパに履き替えました。

図書室の外観

図書室1階は、受付と事務室になっています。1階にある本棚には新しく入った資料が配架されていました。東南アジアの資料を集めているため、初めて見る言語の資料が並んでいます。蔵書数は約27万冊で、洋書が約8割を占めています。東南アジアや関連諸地域の専門書を中心に東南アジア諸言語資料を集めていて、少数言語の資料や雑誌の収集に力を入れています。

新着コーナー

2階には、第1閲覧室と第2閲覧室、学習室があります。学習室には、スキャナー1台とマイクロリーダーが2台ありました。できる限り多くの資料を利用してもらうため、プリント料金は請求していません。2万点以上のマイクロ資料を所蔵しているため、これらの機器を使用するリピーターの方もいるとのことでした。

学習室

第1閲覧室と第2閲覧室には、特別コレクションの展示や辞書・辞典類の参考図書、教員著作の資料がありました。閲覧室には大きな机があり、こちらの机で利用者の方が新聞の閲覧や作業されることもあるそうです。

第1閲覧室

閲覧室には壁付暖炉や枠を装飾するマントルピースと呼ばれるものがありました。建築当初から残っているもので、実際に暖炉として使用されていたそうです。室内には、東南研所員がフィールド調査で収集した民具や仏像・陶磁器が飾られていました。

第1閲覧室の外付暖炉

展示されていた陶磁器

書庫のある隣の棟へ移動する際は、渡り廊下を通ります。渡り廊下は木の棚に新着雑誌が配架されています。歩くと少しきしむような音がして、橋を渡っているような気分でした。こちらにも各地から収集された民具や楽器が展示されていて、東南アジアの文化が感じられました。

渡り廊下

渡り廊下を歩いて隣の書庫棟に移動しました。書庫棟は、1つのフロアの中で西書庫と東書庫とに分かれています。書庫がたくさんあるので、「3階西書庫」など何階のどちらの書庫にいるのかが分かるよう掲示がありました。このように図書室では、日本語と英語が併記されてあり、図書室は国内外の研究者の方に利用されています。地域別に配架されている書架では、書庫に「Indonesia」や「Cambodia」などの表記がありました。

図書室の本館にあたる事務棟と書庫棟以外にも、隣接する共同棟、稲森財団記念会館、東棟に資料があります。東棟にはマイクロ資料が保存されています。室内は、マイクロ資料を利用する時に外気温との差で結露しないように配慮した温度管理をして、資料を利用する際の環境を考えられています。

保存されているマイクロフィルム

書庫の見学の後は、東南アジア地域研究研究所の取り組みとして行っている、アジアに関する書籍を紹介するポッドキャスト「ブックトークオン・アジア」についても説明してもらいました。著者や編者から書籍の内容や執筆についてお話を聞くことができる音声番組です。現在、70本以上の資料が紹介されていますので、これらの地域に関する資料を取り扱う図書館関係者の方には参考になるのではないでしょうか。

こちらの図書室では、資料を積極的に提供する姿勢を感じました。大野さんは「資料は借りてなんぼ、貸してなんぼ」とお話されていました。鍵がかかる書庫にある資料は、スタッフが取りにいくのではなく利用者証と書庫の鍵を引き換えて、利用者に取りに行ってもらうそうです。目的の資料を探す中で、他の資料も見る機会になっていると思います。

所蔵していない資料は学外から借り、所蔵している資料は貸す・見せるということで、自館の利用者だけでなく外部の研究者等の資料の利用希望にも積極的に応えています。これは、学内だけでなく学外の研究者のことも大事にしている図書室長の大野さんの考え方が図書館運営に反映されているものだと感じました。

図書室見学後には京都近辺の図書館関係者の方やモダン建築祭のスタッフの方と名刺交換をする交流会にも参加させていただき、様々な情報交換ができました。

普段なかなか見ることができない国内外の地域研究者の活動を支えている大学の図書室をご案内いただきありがとうございました。

文/藤井夏美 (株式会社ブレインテック Jcross担当)