専門図書館見学記

このエントリーをはてなブックマークに追加

BICライブラリ

掲載:2015年9月16日
図書館名
BICライブラリ(旧機械工業図書館)
住所
東京都港区芝公園3-5-8
URL
http://www.jspmi.or.jp/biclibrary/

公共図書館に勤務して十数年が経ちますが、恥ずかしながら専門図書館を見学することは今回が初めてでした。今まで何故専門図書館に足を運んでいなかったのか。それは、やはり「専門」という言葉に一歩引いていたのかもしれません。しかし、今回の見学を通じて、公共図書館に勤める司書だからこそ、専門図書館を知ることの大切さを実感しました。

さて、私にとって初めての見学先となったBICライブラリとは、機械産業の関係資料を専門に収集している専門図書館で、東京タワーのすぐそばにあります。歴史は古く、1964年11月に財団法人機械振興協会経済研究所情報資料部として発足しており、昨年で50周年を迎えたということです。半世紀が経過している図書館ともなれば、館内は歴史を感じさせる書架や閲覧席があるのだろうと思うところですが、2011年に従来の機械工業図書館からBICライブラリと名称を変更して館内をリニューアルしていますので、想像とは違う雰囲気が広がっていました。

libraryreport_bic_001.jpg

図書館の入り口を通り抜けると、整然と並んだ閲覧席と書架という構図ではなく、様々な用途に活用できるオープンスペースが広がっており、奥にはディスカッションスペースや、個人利用のブースなどもあります。デザイン性の高いお洒落な書架もあり、とても50年目を迎えた図書館とは思えません。居心地のよさ、場としての図書館という点では、公共図書館にも求められていると思いますが、BICライブラリの館内は、その要求を満たしてくれるものがありました。旧機械工業図書館時代に「ビジネス支援を行う」という方針を打ち立て、ここまでのリニューアルが行えるのは、専門図書館だからではなく、そこに携わる人たちの真剣に取り組む熱意だと私は感じました。

libraryreport_bic_002.jpg

そして、これらの空間はやはり、BICライブラリが所蔵する専門資料があって最大限に生かされるのだと、蔵書の説明を受けながら思いました。もちろん、公共図書館においても、図書館の政策の1つにビジネス支援を位置づけ、資料費を多めに配分し、関係資料の充実を図っているところもあります。また、市の基幹産業を全面的に図書館が支援するため、特定のジャンルを集中的に揃えている公共図書館もあります。

libraryreport_bic_003.jpg

では、そのような公共図書館とBICライブラリの違いは何かを考えると、公共図書館では購入できない資料があること、そして、専門とするからこそコアな情報までを扱うことができる職員がいることです。

まず、公共図書館では購入できない資料として、富士経済や矢野経済のレポート資料があります。金額的な面でも公共図書館では難しい資料ですが、そもそも発行元が公共図書館での取り扱いを認めていません。BICライブラリでも、当初は購入することができなかったそうですが、発行元と交渉し所蔵できることになったそうです。利用制限(貸出・複写不可)があるものの、こうしたレポートを来館者が直接手に取ることができるのは、かなり意味のあることだと私は思います。また、企業の報告書などは、公共図書館では地域企業の資料は収集していると思いますが、全国の機械産業に関する企業資料を縦覧できるのは、機械振興協会会員との繋がりもあるBICライブラリの収集力だと思います。

libraryreport_bic_004.jpg

そして、公共図書館のサービス対象が市民であるのに対して、BICライブラリは機械工業に関する情報を得たい利用者です。よって、機械工業に関する蔵書が増えると同じように、職員の専門性も高まり、資料と人がいて専門図書館の質が保たれているのだと思います。見学の際には、職員の方が地下書庫も含め案内していただきましたが、貴重な資料なども大変丁寧に説明をいただきました。

このように、とても魅力あるBICライブラリですが、やはり1つの分野に特化しているということは、それだけ対利用者への支援は難しいとのことです。そこで、公共図書館を含め、横の繋がりを広げたビジネス支援を展開しているそうです。「BIコモンズ電子ライブラリ」や、横断検索システムなど、専門性を外に向かって発信することで様々な可能性を広げています。その説明を聞き、こうした取り組みを公共図書館はもっと活かすことができないかと思いました。

先にも述べたように、公共図書館では収集に限界があります。また、市民からのニーズはますます多様化し、専門図書館とは正反対で幅広いサービスを展開していく必要でてきています。そのために人員を増員することは難しいと思います。であるならば、館種を超えた繋がりを活用して、市民のニーズに対応していく方ほうもあるのではないでしょうか。幸い、BICライブラリは公共図書館との連携ができる体制が整っています。

私は今まで利用者に対してレファレンスを受けた際、専門図書館を紹介してきました。しかし、横の繋がりにより、結果的にワンストップサービスが実施できるならば、それはサービスの向上に繋がります。自館の図書館サービス充実のために、今後も専門図書館との連携を探っていきたいと強く考えさせられました。

libraryreport-ss.jpg
見学者(ハンドルネーム)
市立の司書(S市立図書館勤務)
見学した専門図書館
BICライブラリ(旧機械工業図書館)
このエントリーをはてなブックマークに追加