お仕事見学

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紀伊國屋書店でブックハンティングの現場を見学!

掲載:2014年4月21日

第4回 株式会社 紀伊國屋書店 様

ウパっちは、とある企業図書室に住むウーパールーパー。
いつものようにカウンターでのんびりしていると、図書室のおじさんが、よく来る本屋の営業さんと話しているのが聞こえてきました。

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"ブックハンティング?"

「最近は学生さんがお店に来て図書館で購入する本を選ぶブックハンティングが流行っているんですよ。企業さんでも取り入れるところが増えてきているので、今度いかがですか?」

図書館の本を自分で選んでくることができるなんて!
ウパっちはブックハンティングに興味津々。さっそく様子を見に行くことにしました。

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"人がいっぱい"

ウパっちがやって来たのは、新宿にある紀伊國屋書店の本店。まずは営業さんに教えてもらった外商カウンターを目指す。

「図書館など法人向けのサービスを外商と言いますが、店舗に専用の外商カウンターがあるのは新宿本店と新宿南店だけなんですよ。」

本店3階にある「外商カウンター」と書かれた看板の向こうから担当の舞田さんが出てきて教えてくれる。

「ブックハンティングに興味があるなら今日はこれから和光大学の学生さんが来るので、一緒に見て回りましょう。」

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3階奥にある外商カウンター

大学や企業などの法人が書店に出向いて店頭で購入する本を選定することを「ブックハンティング」と呼ぶようになったのはここ数年だが、その歴史は古く、紀伊國屋書店では1996年に新宿南店がオープンした頃にはすでに大学や公共図書館の司書さんが、店頭で現品を見て購入する選定が行われていたそう。
ここ10年くらいは現品選定でなく、ハンディターミナルで図書のバーコードを読ませる方法でも選定も行われている。

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"これで読み取るみたい"

「ハンディターミナルだと選定した本のデータをすぐに渡せるので、後で図書館側が蔵書との重複チェックをする上でとても喜ばれていますね。また、重たい本を持たずに身軽に店内を歩き回れるので、じっくり本を選べると好評です。」

一方で現品を直接カゴに入れて選定する現品選定は、その場で現物を確保できるため後日品切れになる恐れがなく、選定された本が図書館に届くのも早いというメリットがある。新宿にはこちらの新宿本店と新宿南店があるが、その違いを舞田さんが教えてくれた。

「新宿本店は在庫数が120万点と多く、医学系図書も充実しているのですが、洋書は新宿南店を中心に品揃えされています。また新宿南店は児童書も多いのが特徴です。どちらも専門書を多く取り揃えているので、研究者の選定にも応えられる在庫となっています。」

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説明道具が載ったブックトラック

図書館からブックハンティングを行いたいという要望があれば、図書館の蔵書構成やニーズを聞き、ふさわしい店舗を案内しているそう。 新宿本店でのブックハンティングは月に4,5回あり、多い時では同じ日に2,3組行うこともあるとか。

「やはり、1月から3月にかけての年度末は多いですね。また週末など、希望日が偏ることも。ただ同時に何件も承るとサポートが行き届かない面が出てしまうので、なるべく日程をずらすように調整させていただいています。」

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熱心に説明をする舞田さん

普段はサイン会などを行う店内の一室に学生さんたちが集まってきた。
開始時間になると、舞田さんが学生さんにブックハンティングの説明を始めた。今回は現品選定のため、選んだ本は外商用の赤いカゴに入れていく。「何か困ったことがあれば店員に『舞田を呼んで』と言ってもらえれば店内のどこにいても2分で駆けつけます!」と頼もしい。

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赤いカゴは選定中のしるし

当日ブックハンティングをされていた和光大学さんでは2008年から図書館主催で学生さんを連れた選書ツアーを行っていて、同年からはLRP(Let's Read Project)[]というグループの活動として年に一度選書ツアーを行っている。

この日は7名のLRP メンバーが参加。選書のテーマは「新入生に読んでほしい本」ということで、LRP が担当している図書館内の展示コーナーで毎年恒例となっている「新入生歓迎本棚」に並べるのにふさわしい本を選ぶのが目的とのこと。

学生さんたちは「グループ選書(決められたジャンル)」と「自由選書」の2つから本を選ぶ。これは選書ツアーで各分野まんべんなく購入するとともに、いろんなジャンルに興味を持ってもらうための和光大学さん独自の工夫だ。また、各自欲しい本の目星を付けていて、それらが図書館にあるかどうかOPACを使用して各自で調べている。選書中もスマホなどを使用して随時OPACを検索するという徹底ぶりだ。

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紹介された本はどれも面白そう

新宿本店は地下1階地上8階にフロアが分かれていて、学生さんはそれぞれ担当しているジャンルのあるフロアに散らばって行かれた。各フロアには店員さんがいて、学生さんから本の質問があればいつでも案内できるようフォロー体制も万全だ。

今回は選定を行う時間は約1時間で、その後各自が選んだ本について、選んだ理由や読んでほしいポイントなど、1冊につき2~3分でプレゼンを行う。その後本を回覧し、選んだ本の購入について議論を行い、その場で購入するかどうかの最終判定を行うそう。

約1時間の選定の後、学生さんが再度集まり、選んだ本に関するプレゼンが始まった。

卒業を控えた4年生は1年生の時を思い出して学生生活に役に立つ本を選定。後輩への優しい思いも伝わってくる。 どの学生さんも自分が選んだ本への思いをキラキラした笑顔でプレゼンする様子はとても楽しそう。

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最後に記念撮影

約3時間に渡るプレゼンを終えて、選定された本の入ったカゴを残して学生さんたちは帰って行った。

その後担当の舞田さんはカゴごとにハンディターミナルで読み取りを行い、データを図書館へ送る。
今回は現品選定のため、選ばれた図書は和光大学図書・情報館さんを担当する首都圏西営業部の青柳さんに送られ、翌週には図書館に納品されるとのこと。その後図書館で最終的な確認を行い、請求書を発行して決済となる。

「ブックハンティングでは、学生さんや司書の方に現物を見て本を選んでいただく楽しさを経験していただくことが大きな目的ですが、店舗の面白さにも気付いていただきたいですね。」

と話すのは新宿本店の西根徹店長。

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お話ししてくださった西根店長

「店内には至る所にフロア担当者が「フェア」と題してテーマ別に本をピックアップした棚が作られています。それぞれの売り場担当者が独自の切り口で作成している棚はどれも面白く、思わぬ本との出会いを演出してくれると思います。こういった棚も含めて店舗で本を選ぶ楽しさに気付いてもらえると嬉しいですね。」

今回の和光大学さんのように選定とプレゼンを組み合わせるケースはほんの一例で、ニーズに合わせてブックハンティング+αで様々な試みも可能だそうだ。 最近では現役の書店員さんが講師となって、ポップ作りのコツを伝授してくれる講習会を組み合わせたコースも設けているとのこと。 選書から展示までの一連の流れを紀伊國屋書店でサポートしてくれるとは頼もしいサービスだ。

「ブックハンティングは店舗と外商部門とが協力して行うサービスで、連携を深めることでもっと喜んでもらえるサービスができないか模索中です。いろんな可能性があり、非常に面白い仕事です。」

ウパっちは新宿アルタの大きな液晶モニターを見ながらお昼の「笑っていいとも!」が終わってしまってさみしいなぁと思いつつ、考えた。
いつも図書室のおじさんが、本のカタログを見ながら「内容を読まないと選べないなー」とつぶやいていたので、今度ブックハンティングに誘ってみよう。

会社情報
株式会社紀伊國屋書店 新宿本店
住所:東京都新宿区新宿3-17-7
【ブックハンティングのお問い合わせ】
新宿本店 外商カウンター Tel:03-3354-0131
新宿南店 外商カウンター Tel:03-5361-3301
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