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Lifo - 第一話 「りふぉがたり ~Lifoな人が語る」 - やっぱり 「 きっかけはLifo 」! -

掲載:2010年10月5日

やっぱり「きっかけは Lifo」!

tokatu_lifo08.jpg松村悠子さん (長崎大学附属図書館医学分館)
インタビュー担当: 長屋 俊(日本原子力研究開発機構研究技術情報部)

1.まずは自己紹介をお願いします。

松村悠子と申します。1982年、長崎大水害の年に生まれましたが、そのときは東京に住んでいました。

親の仕事の都合により各地を転々としたあと、社会人デビューは熊本の大学図書館での非常勤。現在は、長崎大学附属図書館医学分館でILL[※1]とレファレンスを主に担当しています。

本館に比べるとスタッフの数は決して多くないので、結構何でもやっています。掃除とかも。

ILLとレファレンスってどちらも専門性が必要とされるサービスだと思うのですが、業務の上で心がけていることや自己研鑽していることってありますか?

ILLでは、受付業務でのコピーの技術を磨くことを一番心がけています。

受付・依頼の両方を担当しているので、書誌確認のための検索技術もできるだけ早く。医学系は常に最新の情報が求められることも多くて、電子ジャーナルについては色々と勉強しています。

きれいにコピーできたりすると嬉しいですよね。なんか職人っぽいぞ、と。自分はブッカー(ブックコートフィルム)をかけるのが好きでうまくかけられたときは本当に嬉しい。

ブッカーは高校の図書委員のときにやってたくらいですねえ。

前の図書館ではタトルテープを入れるのがうまくいったときは、嬉しかった。私はあまり手先が器用ではないので、最初は全然できなかったんですが、一日数十冊と入れてると慣れるもんですね。

タトルテープってなんですか?

磁気テープとも言いますね。

前の図書館では、本の受け入れから装備も担当していたので、背ラベル・バーコード貼りも毎日やっていました。

おおー。磁気テープでしたか。なるほど!

レファレンスに関する自己研鑽ですと、日々の記録をすることと、データベースや情報源についての情報を収集するくらいですね。本館に来るレファレンスは、大きく分けると文献検索か昔の医学部に関係することの2つです。

前者はILLにも関わることなので、OJTで自己研鑽できているんですけど、後者も実は結構重要だと感じています。ネット上のデータベースには載っていない、本学独自の情報を使うことが多いので、自分の覚え書きや同僚のためにも、パスファインダーを作ろうと少しずつまとめを始めました。

上司から教えてもらった基本的な参考文献があるので、それも少しずつ読んでいきたいと思っています。

「昔の医学部についてのレファレンス」っておもしろいですね。歴史的な部分についての問い合わせがあるってことでしょうか?

例えば「祖父がここの医学部の卒業生だったので、当時のことについて知りたい」とか、特定の個人についての問い合わせが結構ありますね。

長崎大学医学部は、安政4(1857)年から始まった、日本で一番古い医学部なんですよ。ですから、近代の日本の医学史についての問合せも多いです。

「日本で一番古い医学部」!知らなかった。しかし、特定の個人についての問い合わせって難しそうですね。学内の内部資料とかいったツールがあるんですか?それとも流通している資料から探せるものなのですか?

医学部の学生は卒業後に医師になるので、開業した方は「医籍総覧」や博士録に載っています。ただ、全ての方が掲載されている訳ではないので、それらに掲載されていない時は、同窓会名簿などの内部資料に頼ることもあります。医学分野は他の学部に比べれば意外と探しやすいかもしれません。

本学の歴史については、医学部の百年史「長崎医学百年史」が充実しています。長崎大の機関リポジトリに収録されているので、Googleから検索できるのは重宝しています。

同窓会名簿!やはりその大学の中の人ならではのツールがありますね。そして百年史!700ページ超!しかも、長崎大学の機関リポジトリ 「NAOSITE」 で公
開してる!素敵すぎます。

医学部の歴史についてのレファレンスは、「医学図書館」57(3)にレファレンス事例集として寄稿さていただきました。

これは、ある日突然電話で原稿依頼を受けたのですが、以前別のセミナーで知り合った隠れLifo[※2]の方でした。Lifoに関わっていなかったら、あの原稿の話はなかったと思います。

人と人のつながり、こんなところにもあったんですね。記事は拝見します!

私と一緒に打診を受けた方もLifoな人[※3]ですので、次号の「医学図書館」はLifo率が高いかも。

いいですね。なんだかじわじわと。見えないところでつながっているというか。
今はプライベートな部分での交流が主ですけどたとえば将来的に仕事を進めているときにLifoつながりだった、つながりが活きてきた、となったらいいなあ、ゆくゆくは。って自分が語っちゃってすみません。

はい、やっぱり「きっかけはLifo」!これはすごく感じます。私にとってのブレイクスルーだったのかもしれません。

自分にとってもLifoという存在は大きいです。ひとそれぞれ関わり方もぜんぜん違う、このゆるやかな集まりが今後どうなっていくのだろうと楽しみです。
ところで全然話は変わりますが、大学時代の専攻は?

大学時代は中国史を専攻していて、卒論は清代の身分制。居眠り常習犯で、学部4年の秋のゼミで先生に怒鳴られて泣きながら卒論をやったくらいの劣等生で、成績はよくありませんでした。

趣味はネットとゲームと読書。最近はビジネス書がブームで、特にマーケティングに興味があります。夏のボーナスでフィリップ・コトラーの本を数冊買ってみたのですが、まだ読破していません。あとはジェンダーやセクシャリティ、若者論に関する新書もよく買うジャンルです。

なぜマーケティングに興味を?仕事で活かすとか?

そうですね。図書館の利用者が何を求めているのか、ということが分からないのでそれを知りたいと強く感じています。

そのために生協に置いてある学生向けのフリーペーパーを読んだり、医師の方が学生時代について書いたエッセイなどを読んだりしています。それとは別の方法から、実際のお客さんのニーズを知るためにマーケティングの手法が使えないかと考えて色々と本をあさっているところです。

利用者(=お客さん)の求めるものを知るために、民間企業は努力をしているように見えるのですが、図書館業界はそういうことをあんまりしていない印象があります。

なるほど。元々マーケティングに興味があった、とかいうわけではなくって、図書館で働くうちに「これは必要だぞ」と。もし良ければ注目してる民間企業を教えていただけますか。

うーん。恥ずかしながら企業のことはあまり知らないので確かなことは言えないのですが、挙げるならマクドナルドとディズニーかなあ。大きなところしか知らないのです。

サービス自体というよりはマーケティングに限らず社員教育のシステムとかにすごく興味があって。

マクドナルドは社員の技術大会みたいなものをやっているというのをどっかで読んだことがあるのでが、そういうことにも興味があります。

実際をよく知らないのにマーケティングって言ってるだけなのが露呈してしまいました。精進します。

いやいや、そんな。まだ駆け出し、ということで。

まだ4年目に入ったばかりです。ということで。

ただ、利用者の動向をおさえておかないと図書館はその人的資源と資料価値を発揮できないまま衰退するというのは分かるので、何とかしたいなあというのはあります。

そのために何ができるかといえば、うちでいえばメインターゲットである学生が何を求めているのか。ニーズを把握しておくことは不可欠ではないかと。

自分もこのままだと図書館まずいでしょ、というのは思っていて。松村さんにとっての、図書館を変えていく、あるいはコミットしていくための方法論としてマーケティングに注目したわけですね。

変えられるかどうか、まだ分からないですけど、この分野の知識はあるに越したことはないですからね。変えられるかな・・・。

ポケット 図解フィリップ・コトラーの「マーケティング論」がわかる本(Shuwasystem Business Guide Book)宮崎哲也 秀和システム 2006/04/01

2.あなたとLifoの関わりについて教えてください。

Lifoの名前を知ったのは、本学の貴重資料データベースの紹介をしてくださった関係でチェックしていたARGの記事からです。「会費がいらない」ことと「わりと若め」という敷居の低さに魅力を感じてメーリングリストに登録しました。

図書館関係のコミュニティに関わったのはLifoがはじめてでした。現在は、日本病院ライブラリー協会(JHLA)に個人会員で入っています。職場の研修でPHPを少し習ったので、プログラミング関係のMLにもいくつか入りましたが、こちらは完全にROMです。

Lifoと接触してすぐの頃の感想って覚えてますか?

メーリングリストで「あ、レスもらえた!」という感想かな。当時、機関リポジトリを担当していて自己紹介にそのことを書いたらそこに食いつかれてたこととか。でも、メーリングリストではあんまりリポジトリの話はしてないですね。

レスもらえると嬉しいですよね。「自分のメール、ちゃんと読んでくれてるんだ」って。メーリングリストってもう古いツールの一つになりつつあるとはおもうのだけど、地味に生き残りそうではありますよね。仕組みとしてシンプルだし、やっぱり便利。

メーリングリストは細かい話を詰めていくにはちょっとやりにくい点もあるけど、情報を一気に全体に流すには便利な道具だと思います。

皆が場合に応じて使い分けられるように、ツールがもっと手軽に選択できるといいなあ、と思います。Google Waveはその可能性を持ったステキなWebサービスですよ。

このインタビューもGoogle Waveを使っていますが、なくなるのはほんとに残念です。
メールやTwitterでもチャットでもない特徴を持ったツールだったなあ、と感じています。

過去形なのがすごく悲しいです・・・。今後、似たようなサービスがまた出てくればいいんですけど。

Google Wave 入門サービス概要、APIからオープンソースWaveサーバーまで ― リアルタイムWebの最前線

あんどうやすし 日経BP社 2010/08/23

ちょっと話が脱線しましたが、松村さんが積極的にLifoに関わるようになったきっかけってありましたか?

積極的に活動に加わるようになったのは、2010年に入って、Twitterを通じてLifoな人たちをはじめとした他の図書館員の人たちと交流するようになってからです。 Lifoをきっかけとして、研究会やセミナーに自主的に参加するようになったり、職場で色々と提案をするようになったりと、世界が広がっています。

Lifoもあったけど、Twitterの存在も大きかったんですね。

Lifoがきっかけ。Twitterがブレイクスルー。そしてWaveが実験場で遊び場かな。

3.最後にLifoや図書館界についてひとことどうぞ。

今後とも気軽に色々な人と出会えるきっかけの場として、そして現場によい何かが還元できるきっかけの場として、Lifoが続いていけばいいなあと思います。

今日はどうもありがとうございました!


2010年9月、Google Waveにて。
インタビュー担当: 長屋俊(日本原子力研究開発機構研究技術情報部)


  • [※1] ILL : Inter Library Loan
  • [※2] 隠れLifo:メーリングリストに登録していたり、興味をもってはいるがタイミングが悪くカ ミングアウトできない、気持ちだけ参加している人たちのことを「隠れLifo」と呼ぶ。ROM(Read Only Member)とはやや違う。
  • [※3] Lifoな人:Lifoのメーリングリストで飛び交うメールの冒頭には「みなさま」ではなく「Lifoなみなさま」という宛名が使われることが多い。そこから「Lifoな」という用法がでてきたとおもわれる。