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Lifo - 第一話 「りふぉがたり ~Lifoな人が語る」 - 「Lifo からはいつもフレッシュな刺激を いただいています。」 -

掲載:2010年10月5日

「Lifoからはいつもフレッシュな刺激をいただいています。」

tokatu_lifo07.jpg坂井華奈子さん
(日本貿易振興機構 アジア経済研究所 図書館 資料整理課/機関リポジトリ事務局)
インタビュー担当: 松村 悠子(長崎大学附属図書館)

1.まずは自己紹介をお願いします。

経歴としては、図書館情報大学卒。学部卒で就活に失敗。「欧米ではライブラリアンは修士以上だからこれからは大学院くらいでておかないと」との先生のすすめで筑波大学図書館情報メディア研究科博士前期課程へ進学。

その後、また就活に失敗したり、親に黙って博士後期課程を受けたら間違って受かったり、派遣職員として小さな専門図書館で働きつつ、研究活動をしたり・・・紆余曲折あって現在の職場へ。

しかし、休学したり復学したり、修了できないまま現在も二足のわらじで大学院にも籍を置いています。

研究テーマは、一般市民の情報利用行動と図書館の位置づけ。利用者(潜在的利用者を含む)の視点からみて、一情報源としての図書館(主に公共図書館)はどういう存在なのか?というようなことを研究したいと思っています。

社会人大学生というわけですね。

ただ、普通の社会人大学生と違うのは、社会に出てから院に入ったのではなく、院の途中で(休学して)社会人になったことでしょうか。

学部→修士→博士と確実にステップアップしてるのがすごいです。

職場では南アジア地域を担当しています。(ひとりひとりに担当地域があるのです。) 現在の配属では、主に情報発信、電子資料の利用者対応、レファレンス、分類、件名付与、雑誌記事索引の採録等をしています。あまり時間を割けていませんが機関リポジトリも担当です。

南アジア地域というと、どこなんだろうと思ってJETROのホームページを見てみました。インドやパキスタンなんですね。具体的にはどのような業務になるのでしょうか。関連する資料を集めたり?

南アジアの定義も色々なのですが、うちの場合はインド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルジブあたりです。

具体的には、普段はその地域を中心に選書をしたり、ときには現地調査(海外出張)に行って資料の買い付けをしたり(インドはとにかく出版物が多い!)、その地域に関する高度なレファレンスの対応をしたり、ですね。(レファレンスは当番のときには受けたら他の地域に関しても対応しますが、専門的で手に負えなくなったらその地域の担当者にヘルプを求めます。)あとは、その地域の研究者と図書館の窓口的役割もあります。

非常に高度な専門性が求められそうですね。

欧米で言う「リエゾンライブラリアン」[※1]に近いかな?

私は前任者の退職後に南アジアの担当になったので、知識の継承が受けられなかったため、研究会に出たりして研究者からなるべく資料に関することを教えてもらうようにしています。まだまだ勉強中の身の上です。。。

でもやっぱり、研究者の目とライブラリアンの目では、若干収集に関してポイントが違ったりしますね。

「リエゾンライブラリアン」!その単語は聞いたことがありましたが、国内にいらっしゃるとは知りませんでした。研究会というのは、その地域に関する研究会ですよね。本当に研究者と近い位置でお仕事されてるんですね。

当館では特に「リエゾンライブラリアン」と銘打ってはいないのですが、入ったときに仕組みが似ているなーと思いました。

地域ごとに図書館に担当者がいて、その地域の研究者は図書館に聞きたいことや依頼したいことがあるとわりとその個人が担当している業務と関係なく地域担当者に尋ねることが多いというような点で。

職場内にはそれとは別に「Area & Subject Librarian」認定制度というものがあります。現地語や現地経験や主題知識など、何度か審査を経て認定されます。

研究会は業務の単位で、テーマごとに組織され1~2年かけて成果を出します。[※2]

研究所が大学と違うのは教育活動ではなく研究活動がメインである点です。

私個人の研究領域は専門図書館ではないので今の職場とあまり直接関係ない(広義にとらえれば関係あるとは思います。)面もありますが、職場でも学位取得が奨励されていることと、調査もじわじわ進めているのでそれをまとめるべくなんとかがんばっています。。。業務内容とは重ならないし、両立するのはなかなかままならないのですが・・・。

仕事とは別に図書館学の研究も続けていらっしゃる訳ですね。ところで趣味などは?

趣味はライブに行くことかな。主に邦楽ですが、最近は某アイドルグループに夢中です。

学生時代は、ストーリーテリング研究会と、児童文学研究会に入っていました。あと、途中で、自分達でサークルを作ってみたり。フリーペーパーを出したり学園祭で踊ったりしました。ストーリーテリング研究会では、普段は公共図書館でおはなしかい(主に読み聞かせとか紙芝居)をやっていて、年に2回大きな公演として学園祭と市の文化系のイベントでパネルシアターやペープサート(紙人形劇?)を手遊びなどを交えてやっていました。

児童文学研究会では、読書会(みんなで同じ本を読んで感想を話し合ったり)と、会誌の発行をしていました。会誌では、特集テーマに関する児童文学についてとりあげたり、自分で創作したり。あとは学園祭で展示もしていました。

tokatu_lifo12.jpg写真は、ストーリーテリングで演じたレオ・レオニの「フレデリックーちょっとかわったねずみのはなし(好学社, 1969年)」に出てくる主人公・フレデリックのぬいぐるみ。

2.あなたとLifoの関わりについて教えてください。

大学の後輩からの紹介で、わりと初期からMLに参加しています。キックオフミーティング[※3]にも参加しました。でも、ジム部[※4]のみなさまのように運営など難しいことはできないし、自分のことでわりと手一杯な毎日なので、ほどほどに楽しくできる範囲で参加しています。

初期~現在と参加されて、Lifoが変わってきたなと思うこと、変わらないことってあります?

最初は口コミでメンバーが増えていたようですが、今は各種媒体で記事を書いたり取り上げてもらったりして、全国各地の口コミでは繋がらなかったであろう人たちが集まって来ている感じがします。

そしてますます活発に。でも、アットホームでゆるい感じは相変わらず!

いろんなチームが発足して、当初からLifoが標榜していた「図書館員の部活動」的な側面が活性化してきたのもすばらしいと思います。でもちょっと仲間に入れないとさびしいときも(^^;

チームといえば、坂井さんはチームARG[※5]で活動されてましたね。私がLifoを知ったきっかけは、ARGの記事でした。チームARGは、どういった形で活動されてたんでしょうか。

チームARGは誘われたものの、当時ちょうど繁忙期だったのでオブザーバーという形で、茶々を入れていたのみであまりちゃんと関われていませんでした(^^; 当時はメールベースで分担しつつ記事を書いていたと思います。今はチームごとにTwitterやSkype、Google Waveなどを駆使して活動していますよね。なかなか一カ所に集まって作業したりできない中、いろんな工夫をしてコミュニケーションをとっていてすごいと思います。

職場では高齢化が進んでいるし、専門図書館は横のつながりが薄いのでLifoからはいつもフレッシュな刺激をいただいています。

大学図書館は、ILLがあるからある程度つながりはあるし、学校や公共図書館は自治体というつながりがありますね。専門図書館のつながりというと、どういう形になるんでしょうか。

当館もNACSIS-CAT/ILLには参加しており、利用の割合も高い方だと思いますが、大学図書館は、国立、私立でそれぞれ協議会的なものがあったり、研修があったりするのがうらやましいです。

専門図書館にも専門図書館協議会があるけれども、規模も主題もばらばらで、しかも企業の資料室だったりすると果たしている機能もまちまちなので、研修内容などもなかなかひとまとまりに考えるのが難しい感じがします。

先日はLifoの定例会をうちの職場で開催させていただいてうれしかったです。が、私の発表は準備不足でぐだぐだだったのでいつかリベンジしたいです(^^;


3.最後にLifoや図書館界についてひとことどうぞ。

Lifoはやる気のある人、フットワークの軽い人が多くて私もなにかやらなくては・・・!という刺激を受けています。

個人的に、図書館のコアはやっぱり「人」(資料も人が集めて組織化するし・・・) と思っているので、これだけやる気のあるわりと若めの図書館関係者がいるということは将来楽しみだ!と思っています。

なんとなく、長らく図書館について学んできて、現場にも入ってみた感想としてこの業界の明るい未来を描くのが難しく感じることもあるのですが、現場に近いところにこれだけの人が集まっているということは捨てたモノじゃないかもしれないな、と元気をもらっています。

これからも、今後のLifoに期待しています。

2010年9月、メールおよびGoogle Waveにて。
インタビュー担当: 松村悠子(長崎大学附属図書館)