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Lifo - 第一話 「りふぉがたり ~Lifoな人が語る」 
- 若手の活性化が、元気のない大学図書館を良くしていく -

掲載:2010年11月4日

若手の活性化が、元気のない大学図書館を良くしていく

tokatu_lifo03.jpg天野絵里子さん
(京都大学附属図書館)
インタビュー担当: 長屋 俊(日本原子力研究開発機構 研究技術情報部)

1. まずは自己紹介をお願いします。

天野絵里子といいます。京都大学附属図書館[※1]で、機関リポジトリ[※2]とか、Eリソースとか、とにかく本に触らない仕事をしています。 京都に来て早12年。工学部の図書室、シス管、レファレンス、日文研[※3]で受入・・と仕事を経験してきました。

京都大学は学内にたくさん図書室があるんですよね。シス管、というのはシステム管理担当、でしょうか?

そうです。 図書館内のシステム管理を担当している係です。 OPACですとか図書館システム全般、また図書館の職員さんが利用している端末の管理などが主な業務です。 全部で200台くらいの端末を管理していたと思いますよ。 一括で管理できることも多いのですが、トラブルは、日々いろいろと。

全部で200台! これだけで日々の業務のほとんどを占めそうな。 この係に配属される方ってシステム管理的な知識、経験を備えた方、というコトなのでしょうか?

そうとも限らないですね。 私の場合は、そのあたりはOJT(On the Job Training)で習ったということになります。ほんとはそんなOJTみたいに悠長なことせずに、少なくとももともとシステムの知識がある人が配属になるのが相応しいと今でも思いますが。それからたとえば、図書 館内の業務システム部分に携わるので、どうしてもシステムを作るSEさん、使う人と相談しながら進めたり、現場の状況を把握するといった部分が重要になってきます。 私がこの係に着任した際には、システムの知識よりも、そういった面でがんばって欲しいということを言われた記憶があります。

なるほど、システム部分の仕事といっても一日中パソコンとにらめっこしているわけではないんですね。 それから、大学事務をされていたことがあったのですね。初耳でした。 図書館で仕事をされる前に大学全体という視点で一度眺められたのはその後の仕事の進め方に大きく響きそうですね。

ええ、神戸大学で大学事務をやっていた頃があったのですが、その頃から大学の経営に問題意 識を持ち続けていて、現在、同志社大学の総合政策科学研究科[※4]で大学図書館員の人的資源 管理をテーマにほそぼそと研究もしています。

なるほど、神戸から京都へ。 それから仕事の傍ら研究も!自分がはじめてお会いした頃は修士課程だったと思うのですが、その後も続けられているわけですね。 仕事と研究と両立が大変だと思うのですが、そのあたり時間の使い方というか工夫している点ってありますか?

両立というのはなかなか大変ですね。 修士課程は、ビジネス研究科という専門職大学院で、グループワークとかレポートに追われる2年でした。 いまはそろそろ一本、論文にまとめたりできれば良いペース、というところです。 研究では、特に!若手の活躍がこれからのキーですよということをなんとか説明したいと・・・あくまでほそぼそとやっています。

若手の活躍ですね。 Lifoも「わりと若め」の、という看板を掲げているので研究の中身がとても気になります。 若手に着目した理由って教えていただけませんか?

いい組織の条件として若手の声が通る、という環境の影響が大きいのではないかと思っていま す。例えば、以前からシステム部分やwebサービスといったIT技術の重要性に着目して、それ を活かせればおもしろい、いい図書館のサービスが開発・提供できると思っていたのですが、 組織内では目録ですとか受入などの旧来の業務が重視されている。そういった意味でIT技術 に親和性の高いと思われる若手の活躍に注目しています。

なるほど。 若手の声が通る組織というと活性化されそうなイメージはありますね。 それからIT技術に親和性が高いということも個人差があるとは思いますが、年代別にそういう傾向はあると思います。 ちなみに京都大学の図書館の若手は天野さんから見てどんな感じなのでしょう?

うちの若手には賢い人が多いし、非常に活発に外に出て行く人もいて頼もしいです。 ただ、積極的に外に出て行って何かをすることと、組織で仕事を進めること、は別の話なので難しいところもあります。 若手が活躍しやすい組織をつくるのは若手の「上司」や「先輩」にあたるスタッフや管理職の役割であるので、今後、よい利用者によいサービスを提供できるかどうかの鍵を握っているのは、若手だけではないんですが。 そのあたりは日々もどかしさを感じています。

そうですね。少し脱線し過ぎたので話を戻しましょう。

tokatu_lifo09.jpg
2007年9月 サンフランシスコ AT&T Park にて

2. あなたとLifoの関わりについて教えてください。

いやいやそんな。Lifoのイベントに参加させてもらったこともない幽霊会員ですのに。。。

遠足くらいは参加されてるのかなあとおもったら、意外と参加されてなかったんですね。

そうなんです。 なかなか参加する機会がなくって。 以前、アジ研さんに遠足[※5]で行かれたことがありましたよね。 あの時は「参加したいなあ」と思ったのですが。京大と同じベンダのシステムなのに、新着アラートサービスを所外の利用者にも使わせていたり、独自にサービスを展開されているところが以前から興味がありましたし、地域研究という点で(以前勤めていた)日文研に似ていることと、サービスそのものを通して裏で司書の方が活躍している様子がわかるのでとても興味があります。

アジ研遠足は自分も行かせていただきました。同じ専門図書館として見てもすごいなあと思 っています。

ちょっと遡りますが、私が京都大学図書館ではじめて仕事を始めたのが工学部の中の小さな図書室でした。 そこで仕事のイロハを教えてくれた先輩が、ku-librarians(仮称)[※6]という京都大学内の図書館職員向けの勉強会を始めました。 京都大学にはいくつかの図書館があるので他の図書室とのつながりも欲しいなあと思っているところでした。

おお。ku-librarians(仮称)ですね!

勉強会が始まって何年かあとに、その勉強会の幹事を務めたこともあります。 そういったこともあってか、なぜかLifoの結成を知ったとき、「やられた!」と、正直少しくやしい思いをしたのを覚えてます。 そういう所が必要だと思っていたからです。若手の活性化、ということが、元気のない大学図書館をよくしていく、ユーザによいサービスを届けるためには絶対に必要だということはずっと考えていました。
漠然と、館をこえた、非常勤職員も専任職員も参加できる、若手同士のネットワークがあればいいのかなぁ・・・なんて考えていたところ、Lifoがそれを軽やかに、実現してしまったのです!

自分たちがもう3年近く前にLifoをはじめようとおもったとき、「こういうのありそうでない んだよね」というところから出発したことを思い出しました。

ちょっと、先を越された気持ちでした。 でもすぐに、その趣旨や活動のあまりの軽やかさに、すっかり感心してしまって、さっそくMLに参加しましたし、長屋さんに応援のメールを送りました。

あのメール、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。

大学院の研究発表の時など、若手の優れたネットワーキング実践として、必ず紹介しています。

本当ですか! とても嬉しいです。

それから研究の話にも絡むのですが、LifoにしろU40[※7]にしろ、ku-librariansにしろ、こうしたネットワークが必要だから発生してきているに違いない、という仮説を立てています。 今までは図書館員のストレスについて研究を進めてきたのですが、それだけだとやや不毛なところもあるので、今後は、ストレスなく若手もベテランもいきいきと仕事に取り組める組織にしていくにはどんなものが必要かという視点で研究を進めたいと思っています。

ネットワークの話とストレスの話、がつながるのですね。

はい、組織を超えたネットワークによって、ストレスの減少、モチベーションのアップ、が実現できるのではないかと。 外に出ることによって支えとなったり、良い仕事をしていけることにつながるのではないかと。

もし、そこに関連があったとしたらいま広がりつつあるネットワークにとって本当に心強いメッセージになりますね。

こんなふうに、今のところ、ちょっと離れたところからやんややんやと言っているだけなのですが、それも、Lifoとの関わり方の一つだと言っても許してくれますか・・?

自分にとって天野さんは「Lifoを見守ってくれてる人」だったりします。 心強いです。いつもありがとうございます!

3. 最後にLifoや図書館界についてひとことどうぞ。

Lifoのやってることはまちがってない。それだけははっきりと言えます。

それからLifoはぜひ、関わっていない人、特にベテランの世代の上の立場の人たちに良い印象を与えられる存在になっていって欲しいと思います。

心強いエールありがとうございます。今日は本当にありがとうございました!


2010年9月、電子メールのやり取りでインタビュー。
その後、京都音楽博覧会会場にて直接インタビュー
インタビュー担当: 長屋俊(日本原子力研究開発機構 研究技術情報部)


[※1] 京都大学附属図書館
[※2] 京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI)
[※3] 国際日本文化研究センター
[※4] 同志社大学大学院 総合政策科学研究科
[※5] 「リベンジ!アジ研」
[※6] ku-librarians(仮称)
[※7] U40
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