専門図書館見学記

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エル・ライブラリー

掲載:2016年1月26日
図書館名
大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)
住所
大阪市中央区北浜東3-14 エル・おおさか(府立労働センター)4階
URL
http://shaunkyo.jp/

エル・ライブラリーとは

エル・ライブラリーは大阪を中心とした、労働組合や企業、経済団体、市民団体の活動に関する資料を収集・管理する専門図書館です。2008年10月に開館しましたが、この図書館の前身は30年以上の歴史のあった「大阪社会運動資料センター」と60年以上の歴史を持つ「大阪府労働情報総合プラザ」です。

2008年の大阪府での財政改革にて、「大阪府労働情報総合プラザ」は同年7月末に、廃止され、同時に府からの補助金も全廃となりました。

そこでこの蔵書を失わせるわけにはいかないと、廃止翌日に「エル・ライブラリー」設立を宣言、2ヶ月後に開館、それから本日に至るまで精力的な図書館運営を続けられています。その様子がWebサイトやSNSで発信されているので、興味が湧き、今回お邪魔しました。

大阪市中央区にあるエル・おおさか(大阪府立労働センター)ビルの4階に、エル・ライブラリーはあります。

大阪府立労働センター外観

エレベーターを降りてすぐのライブラリーを見て、まずびっくりしたのは、入口に置いてある品々です。文庫本をはじめバッグや小物などいろいろなものがワゴンの中に値札を付けた状態で置かれています。一見、図書館の入り口には見えません。そして中に入って見渡すと、あちこちに募金箱が置かれています。

実はこちらの図書館は、自称「日本一貧乏な図書館」です。この図書館の沿革や特徴について、エル・ライブラリー館長の谷合様に案内いただきました。

資料の特徴

収集対象は、労働に関するものなら何でも、と谷合様からお聞きしました。例えば労働組合の文書や企業の社史、社内報や団体情報誌、内部資料といった文書の他に、労働組合のポスターやパンフレット、広報誌、戦前の国民労務手帳、労働組合旗やバッジなど、労働に関する様々なものを収集されています。

収集された資料はデータとして整備され、Webサイトからの検索も可能です。

谷合様に「お宝がたくさんあります」と紹介された書庫には解散した企業や団体の資料も多く、一般には出回らないこれらの資料が失われないように、谷合様や館長補佐の千本様が奮闘されている様子も語っていただけました。

書庫の中には多種多様な資料が収容されているのですが、比較的整然と並べられていました。いくつかの大学との共同研究を行ったり、講演やワークショップなどで積極的に資料を利用したりしているということなので、使いやすく整理されている印象でした。

書庫の様子

自称「日本一貧乏な図書館」の活動について

谷合様のお話で、大変なこととして真っ先にあげられたのが、運営資金を集めること、でした。これまで官からの資金に運営費の大部分を依存していたのが、突然民に変わり、資金集めも自分たちで行わなくてはいけなくなってしまったので、当然かもしれません。
(ちなみに、家賃は大阪府に払っているそうです。一年分が前払いとのことで、値上げもあって大変です、とおっしゃっていました。)

同じく大阪にアジア図書館という、民間運営の図書館があるので、開館前にはいろいろとアドバイスを受けたとのことです。そして、まずはスタッフを減らしボランティアの方々に支えてもらうこと、有料のサポート会員(さまざまな特典あり)を募集することをはじめられたとのことです。谷合様自身も、講演などを引き受けた場合には宣伝したり、募金集めしたりと行われているようですし、SNSも積極的に利用されているとのことでした。

エル・ライブラリーでも社会人講座を開催し、利用者のすそ野を広げる努力をされているとのことでした。

谷合様の「周囲の皆さんに助けられながら運営しているので、こちらでできることはがんばらなくてはいけない」という言葉に、人と人との縁を大事にされている姿勢を感じました。縁を大事にし、精力的に活動されている谷合様の周りには、谷合様を支援する人も自然と集まってくるようです。

お話をお聞きしながら、エル・ライブラリーは、労働や産業の記録を残すという谷合様をはじめとしたスタッフの使命感に支えられているのかなと感じました。企業の統廃合などで失われてしまいがちな資料の収集と保全については、経済効率といった面からだけでは計れない、文化や歴史を大事にする活動なのだと感じました。

館長の谷合様と館長補佐の千本様

見学者
Jcrossスタッフ 赤枝
見学した専門図書館
大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)
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